2007年12月25日

◇聖夜が明けた朝

イブから明けた25日。
昨夜の名残もなく新しい1日が始まろうとしている。
開店準備をしているマスターは、時計を見ながらそろそろ出勤してくるであろうウエイトレスのために珈琲を淹れはじめる。
時間ぴったりに駆け込んできたウエイトレスは、そのままカウンター前でまくし立てる。

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「マスター、聞いてくださいよ!」
「なんだ、朝っパラから?一体なんだ?」
「もう、ほんとにひどいんだから。許せない!」
「だから、何だってんだ?」
「こんなに寂しい思いでクリスマスを過ごしているって言うのに、サンタクロースがプレゼントを置いて行かなかったんですよ!もう信じられない!」
「はぁ?・・・プッ・・・ぶぁはっはっは・・・、サンタってお前・・・」
「そうですよ。サンタクロースですよ。何か問題でも?」
「お前なぁ、今時小学生でもそんなことを言い出す奴はいねぇよ。」
「そんなことはわかってますよ。問題はそのあとです!!」
「ん?そうか、そっちか。寂しい思いをしてるのにプレゼントすら誰もくれないって怒ってるわけだな?」
「そうです。昨日の彼女だって、マスターだって、それどころか常連のガキ共だって楽しい思いしているのに、私は父ちゃんと普段のようにお酒飲んで終わりって、不公平!!プレゼントの1つもなきゃ悲しいよぅ。」
「そんなことは一緒に過ごした親父さんに言えよ。」
「言おうとしたわよ。でも、いくら記憶をたどっても父ちゃんがプレゼントをくれたなんてことは1度もなかったんだもん。今更父ちゃんに期待できないわよ。」
「で、なんでまた俺なんだ?」
「父ちゃんの次に近くにいる男性だから。」
「おいおい、頼むよ。ただでさえ世間には誤解されてそうなんだから、不穏当な発言は控えてくれ。」
「だって、多分時間的に言ったら、奥さんよりも長いこと一緒にいるわよ。その私にご苦労様のプレゼントも無し?2号さんの私の立場はどうなるの?」
「ひ、開き直りやがったな。俺が自由にできるのなんて、この店の中だけだ。よし、珈琲なら何ぼでも淹れてやるぞ。どれがいいんだ?好きなの選べ。」
「マスター・・・。私はあの包みの中に何が入っているのかってワクワクしながら開けるのが楽しみなんです。メニューから選べって引き出物の商品カタログみたいじゃないですか。」
「贅沢なやつだなぁ。ほらもう開店まで間がないぞ。着替えて準備をして来い!」
「ふ〜んだっ!マスターのけちんぼ!!」
「やれやれ・・・。」

「ふぇ〜ん、マスタ〜・・・、ありがとうございます〜・・・。」
「何のことだ?」
「あんな風に言っておきながらロッカーにプレゼントいれとくなんて〜。置いてあるんならそう言ってくださいよ〜。」
「誓って言うが俺じゃないぞ!!俺にそんな余裕なんかないことは承知しているだろうが?」
「なーにかな〜?えっ?アクセサリー?なんだか高級そうね。し、シルバーのネックレスだぁ!?確かにこれはマスターじゃないわね。マスターだったらもっと実用的なものか、お食事でしょうからね。」
「どうせ・・・、今年のサンタは気前がいいなぁ。だが俺にはなんにもなかったぞ。」
「マスターはあげるほうでしょ。あら、カードが付いてるわ。『講習会でのお手伝い、毎回ご苦労様でした。今後もよろしくね』だって。オーナーさんね、嬉しいわねぇ〜、内緒で用意してくれてるなんて。今度連絡があったらちゃんとお礼を言わないとね・・・」
「なんだ、オーナーかよ。しょうがねえかな、あいつじゃ。いいとこのお坊ちゃんじゃセンスが違うよなぁ・・・。」
「あら、追伸で『マスターに見せるとクサルので見せないこと』だって、オーナーよくわかっているわね。」
「・・・・あいつは・・・おいしい・・・持って・・・。」
「マスター、何ぶつぶつ言ってるんですか?時間ですよ、シャッター開けますよ!」
「ぜ〜ったい文句言ってやる。あいつめ、覚えてろよ!」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(8) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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