2008年01月24日

◇新春の密談 〜その影響〜

成人式も数日前に過ぎた頃。
日も落ちて辺りをキンと冷えた空気が満たしてゆく。
会社帰りのサラリーマンの足音も途絶え始める、そんな時間。
店のカウンターにマスターの姿は無く、所在なげなウエイトレスがカウンターに座った常連に話し掛けている。

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「あれ〜、珍しいわね、紅茶なんか飲んでる?」
「風邪気味だって言ったら、マスターが勝手に作ってくれたんです。僕は珈琲が飲みたかったのに・・・。それから、紅茶は紅茶でもこれはチャイ、柚子チャイだそうです。メニューにはないから通常のミルクティーと同額でいいって。無理やり飲ませて金取るんだもんな、でも美味しいし、体の中から暖まりますね。」
「君の体調を気遣ってでしょ、感謝しときなさいな。それより、聞いた?」
「お姐さんの興味があることといえば・・・あいつが年上の彼女をゲットしたことでしょ?」
「そうよ。いいなぁ、私にも誰か告白してくれないかなぁ〜?」
「そんな目で僕を見てもダメですよ。お姐さんは対象外です。ちなみに僕の相棒は、今、他の女の事は眼中にないはずですから無理ですよ。」
「そんな簡単に却下しないでよ。ほら、美人だし、スタイルもいいし、気が利くし・・・。ねえ、もう一度考え直してみる気、ない?」
「よく自分で自分の事をそんな風に美化して言えますね。確かに見られない程の顔のつくりじゃあないです。でもメリハリのないボディをスタイルがいいって言うんでしょうか?余計なことにすぐ首を突っ込むのを気が利くとは言いませんよね。その上酒乱・・・。これは男が引く最大の理由ですよ。」
「ひ・・ひどい・・・あんまりよ・・・。」
「そう、そのヘンなクサい演技もどうかと思います。」
「あ〜もうやってらんない。大人の女の魅力がわからないようなガキに話を聞いたのが間違いだったわね。」
「大人の女って・・・お年玉がほしいって駄々こねたりしないと思いますよ。マスターがあきれてたじゃないですか。」
「あ、あれは、クリスマスのときにごねたらプレゼントが置いてあったから今度もってやってみただけじゃない。やだな〜見てたの?お茶目しただけでしょ。」
「お茶目って・・・まあ、お姐さんならやりそうって誰だって納得するでしょうけど。」
「納得されてもなんだか嫌よね。まあいいわ、この店の常連には私の魅力をわかってくれる大人の男はいないって事で他で探すことにするから。」
「その方がいいと思いますよ。みんな普段のお姐さんを見ちゃってますからね・・・い、痛い。」
「これぐらいですんでよかったと思いなさいね。あったまきちゃう。」
「お客にこんなことするから・・・。あ、もう言いません、言いませんってば。」
「いい?本題に戻すわよ。」
「ああ、あいつの彼女の話?どんな子なの?」
「それが、丁度私の連休の間だったらしくって見てないのよ。」
「あ〜、この間のお店が静かな時・・・睨まないでください、訂正しますよ。この間マスターが忙しくしていた間だったんですね。じゃあ、マスターに聞いてみればいいじゃない。」
「聞いたら怒られた。客の個人的なことに首を突っ込むんじゃないって。」
「あはは、もう怒られたんですか。それでもあきらめきれないから僕ら常連に聞きまわっているわけですね。でも無駄だと思いますよ、奴らとは時間帯が違うんですから。大人しい高校生なら僕らの来る頃まではめったにいないでしょう。まして彼女が受験生って事になるなら、さっさと引き上げるでしょうから会いようがない。3月になって受験が一段落したらお披露目に来るでしょうから、それまでは僕らもお預けですよ。」
「う〜ん残念ね。ちょっとしたドラマだったって聴いたんでヒロインになれる子ってどんな子かと思ったんだけど・・・。彼のほうは見栄えのする可愛い子よね。年上でいいんなら私が立候補してあげたのに。」
「まだ言ってるんですか?お姐さんを上手に扱えるのは年上の男性しかないですって。マスターみたいな年齢の人でないと無理じゃないですか?」
「やっぱりそうよね、大人の魅力は大人でないと理解できないわね。」
「はぁ?まあそういうことにしておいたところで、風邪ひきの子供は帰ります。お会計をお願いします。」
「えっ?帰っちゃうの?もう少し一緒に考えてよ、どんな人がいいのか。ねえ、ちょっと〜。」
「丁度ここにおきますよ、お姐さん。ちゃんとお仕事しましょうね、マスターに怒鳴られますよ。それじゃあごちそうさま。」
「ありがとうございました。・・・んもう!これからってところなのに!逃げるなんて男らしくないわね。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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