2008年01月31日

◆応用編 5.まとめ

いつもご愛読ありがとうございます。

応用編も最後のまとめとなりました。
しかしながら、応用編は各章が強く関連し合っているものなので、まとめと言う形はなかなかと取りにくいものがあります。
豆の条件によって各章で説明された微調整を行うことにより一層の美味を手に入れることができます。そのためにはその時々に応じてどう調整したらよいのかを自分の目や鼻・耳・舌を使って判断することが必要になります。これは実践の中でしか身に付けられない感覚ですね。

いつもの珈琲をいつもどおり淹れるだけじゃなく、たまには大胆に抽出方法を変えて淹れてみると、別のふくよかな味を発見できるきっかけになるかもしれません。
お試しあれ!

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「マスタ〜?今日は何をしましょう?」
「全く・・・冒頭でオーナーの奴が今回説明しようと思っていたことを全部言っちまうから、何すればいいのか判んなくなっちまったじゃねえか。」
「ぷふっ、むくれてるんですか?」
「美味しい所取りはあいつの専売特許らしいな。」
「あ〜あ、マスター怒っちゃってる。これは講習会になりそうも無いわね。帰ろうかしら。」
「よし、決まった・・・?何やってんだ?せっかく準備したのになに片付けているんだ?すぐにサボろうとするんだからな。」
「何言ってんですか、マスター。私の声も聞こえないほど怒ってたくせに。こんな様子じゃ講習会なんかできそうもないんで片づけを始めたんじゃないですか。」
「勝手なことを言ってんじゃない。じゃあ始めるぞ。」
「ええ〜っ?いきなりですか?しょうがないなぁ、自分勝手なんだから・・・。」
「今日は普段はできない実践的な抽出をやってみよう。」
「ちょっ、ちょっと待ってください。今回は応用編のまとめなんですけど・・・。」
「オーナーが勝手にまとめちゃったんで、今回は俺の好きにやっていいって事と了解した。」
「うわっ、マスター開き直ってる。もう、付き合う私の身になってくださいよ〜!!」
「今回はお前の修了試験もしようって訳だ。抽出ができるってことで時給も上がるだろうな。頑張ってみる気はあるのかな?」
「えっ?お給料に反映されるんですか?一生懸命練習した甲斐がありました。」
「バ〜カ、ちゃんとできたらって話だ。オーナーに文句つけるついでに話をしてやる。」
「ついでって・・・。まあいいです、お給料には代えられません。頑張ります。」
「それでは実践的に行くぞ。4番テーブル、キリマンジャロ・モカ・マンデリンをオール1でお願いします。」
「ハイ?何で敬語?」
「ウエイターがカウンターにオーダーを通すのなら普通だろ。実践的にって言った筈だぞ。」
「わかりました。キリマンジャロ・モカ・マンデリン、オール1。えっと豆はどこだっけ・・・?ありゃ・・・これと、これと・・・よし、準備OK!」
「ちょっと待った!お湯の温度は確認したのか?俺も飲むんだ、へんなもの飲まされたらかなわんぞ。」
「済みません・・・。それじゃあ抽出します。まず、キリマンジャロっと。はいどうぞ。」
「馬鹿もん、3つ一遍に淹れんか!1テーブルのオーダーだぞ。」
「へっ、実践ってそういうことだったんだ・・・。わかりました。やり直します。3杯をほぼ同時に仕上げればいいんですね。今まで2つ同時は何回かやってきましたけど3杯は初めてですね。よっ、リズム感が問題でしょうか?あっ、キリマンジャロが・・・間に合った。」
「おい、マンデリンがカップからあふれてるぞ・・・。」
「ひえ〜っっ!お見逃しを・・・。マスタ〜・・・もう試験修了ですか?」
「いや、とりあえず味見をしよう。モカは問題ないな。マンデリンは若干うすくなっちまってるが、まあ許容範囲で収まっている。問題はキリマンジャロだ。絞っちまってなければいいが・・・ふん、何とか合格点はやれそうだ。」
「えっ?いいんですか?」
「基本的な抽出姿勢は仕上がってるよ。わざとお前の技量以上を求めてみたんだ。焦りもあるし慣れていない部分だってある。減点しようとすればいくらでもあるが、そういったことは少し練習すればこなせるようになるだろう。だからこの場面では合格とするんだ。だがな、同じカップを使ったのはいただけないぞ。ウエイターが俺なら匂いだけでわかる。が、未熟な奴だったらどうする?」
「あ、そういえば以前は私のときもカップが違ってた。そうか、カウンターの中からでもカップを指して指示することができるんですね。」
「そうだ、ホールの人間が自発的に動ける奴ばかりじゃないことも考慮に入れてなきゃならないんだ。一目でわかるのが基本だ。」
「はい、そうですね。私が最初にお店に立ったとき、何をしていいかわからず、マスターに指示されなければ動けなかったことを思い出しました。あれっ?そうするとそろそろ新人が入ってくるんですか?」
「お前のカンの良さはどこから来るんだ?いつもはボ〜っとしてるクセに。まあいいか、そろそろ話しても。募集している職種は経験者で副店長候補。いくらか応募はあったし面接も行った。だがオーナーと俺の眼鏡にかなう奴はまだ出てきてない。」
「え?と言うことはお店を任す人材って事?それってまた私は下っ端・・・。」
「そうする予定だったって事だ。まだその希望は捨ててはいないが、路線変更もやむをえないとオーナーも俺も思っている。特に店長経験者なんかは、この店の雰囲気を壊しかねないからな。苦労してここまでにした店を変えられたくはない。」
「と言うことは募集は白紙?」
「いや、あくまで副店長候補を募集する。但し経験は問わないことにした。しかしなれるかどうかはそいつ次第だ。そうすると誰かさんにもチャンスが残るしな。なあ、アドバンテージの大きな誰かさん?」
「へっ?私?そ・そ・そんな予定なんですか?」
「ああ、お前の成長を考慮に入れてなかったんだ。この半年の成長振りは俺も驚いた。オーナーに言えば喜んでくれるよ。但し残りの試験をパスできればだがな。」
「ああぁ、まだあるんですね、試験。」
「そうだな、抽出をあと何パターンかチェックした後、カップテスト・豆の知識・接客と続くが何か問題でもあるのか?今日全部やるわけじゃないがな。」
「見通しが暗くなってきました。私には荷が重過ぎますよ〜。」
「お前の得意な追試はやってやるから。ちょっと頑張ってみろ。そうでないと、またあの鼻持ちのならない奴らの面接を続けにゃならん。大きな店で働いてたからどうだってんだ。この店に合わせられなきゃ俺は一緒に働く気にはなれんよ。」
「応募者の皆さん、相当にプライドが高かったようですね。オーナー、胃に穴あけてないですか?」
「そんな心配より目の前の試験のほうが大事じゃないのか?そろそろ始めるぞ。今日中に抽出に関わる部分はやっちまうからな。」
「はいっ!頑張ります。」


 

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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