2008年03月22日

◇酔眠不覚暮

桜前線の足音が聞こえるほどになってきている。
しかし気温は前の月末まで逆戻りしたような週末を迎えようとしている。
強風に立ち向かうように上着の襟を立てて常連の大学生が商店街から足取りも重くたどり着いた。
扉を開けて一望したその顔が、不安から驚愕と安堵が入り混じったものに変わる・・・。

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「あ、あれ?やっと見つけたよ。どうしたのこんな時間にこんなところで?あ、マスター、ブレンドください。」
「N君こそ、今日は朝からサークルだって言ってなかったっけ?」
「何言ってんだよ。それは昨日。そういえば昨夜、留守電入れておいたのに聞いてないのか?」
「だって今日木曜日でしょ?約束は金曜のはずじゃ・・・?」
「はいっ?どうしたんだお前?今日は金曜日!ダチのライブ見に行く約束だろう?大丈夫か?」
「えぇ〜〜〜っ!!どうして?おかしいよ。木曜日の記憶がないよ?ひょっとして知らないうちに時間を飛び越えた?」
「何訳わかんないこと言ってるんだ。今晩は出かけたくないのか?」
「ううん、行くけど・・・。おっかしいな〜。気になるからちょっと思い出してみるね・・・。水曜日の夜は一緒だったのを覚えてる。」
「ああ、みんなで飲みに行って、店追い出されて、次の店に行ったのが11時過ぎかな。」
「そうよね、うん覚えてる。R君がよく行くって言ってたお店でしょ?で、あなたは12時ごろに『明日朝から一日中サークルに出なきゃいけない』って帰っちゃったのよね。」
「お前らに付き合ってたら結局朝になっちまうからな。あの後どうしたんだ?」
「1時半ごろ店を出ていつものカラオケに行ったの。T君・SちゃんのカップルとA君、Uちゃんと私の5人。私もあなたがいないから帰ろうかなって思ったんだけど、終電なんか終わっちゃってるしT君がかなり出来上がってヤバ目だし、Uちゃんは行く気満々だったんでしょうがなく・・・。A君の様子もちょっと気になって。」
「またか、アイツ酔いが廻るとすぐだからな。TがあてにならないからUさんのガーディアンとして残ったんだ。ご苦労なこった。」
「でもね、結局歌ってたのは女三人だけで、二人ともダウンしてたの。始発が動き出したからそれまで寝てた二人を起こして、会計押し付けて帰ってきたの。そこまでは覚えてる。」
「男は哀れすぎる・・・。俺は帰って正解だったんだな。それで?」
「軽くシャワー浴びて、濡れちゃった毛先も乾ききんないうちにベットで轟沈したはず・・・。」
「今日は何時ごろ起きたんだ?」
「お昼・・・。でもね4時間ぐらいしか寝てないのに快適に目が覚めたのよ。いつも睡眠不足のときはしばらくしないと食べられないのに、もうここでクラブハウスサンドなんか食べちゃった。美味しかったよ。」
「あ・・・アホか?おのれは。いい加減気付けよ。一昼夜も丸々寝やがって、睡眠不足もねぇだろうが。」
「えっ?どういうこと?今日は木曜日よね?」
「だから金曜だって!! 昨日は携帯にいくらかけても出やしないし、Uちゃんからは金曜の夜二人で遊ぶ約束したんだとか聞かされるし、今朝も繋がらないんで、お前んち寄ったらもぬけの殻。途方に暮れながらここまで来たんだぞ。」
「あっ、そっか〜。Uちゃんに明日はダメだったんだって電話しなきゃね。」
「いい加減今日が金曜だって認めろよ。心配してたんだぞ。」
「うん、・・・ごめん。心配かけたね。丸一日寝てたなんて照れくさくってさ〜。とぼけてみただけ。ちゃんと解ってるから大丈夫。さっきUちゃんにも謝っといた。」
「へっ、う・そ?いい加減にしろよ。」
「だってUちゃんに電話したら私んちに寄るって言ってたっていうから、絶対ここに寄るはずだと思って先に来てたの。」
「いい加減に・・・やれやれ、もういいや。午後一杯ここにいてそのまま出かけような。」
「ほんとに心配かけてごめんね。なんか食べる?おごるわよ。」
「それは夕飯にとっといてくれ。来がけに食べてきたんだ。」
「え〜っ!高くつくわね〜。じゃあ、入場直前に簡単なのでいいよね!あの傍にファーストフード一杯あるよね。」
「わかったわかった、本当に心配しても仕方ない奴だなぁ。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☁| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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