2008年08月13日

◆番外編 5.フレンチプレス

毎度お越し頂きありがとうございます。番外編第5回をお届けします。

今回は海外ではかなり一般的な抽出方法なのになぜか国内では特殊な方法と誤解されている『フレンチプレス』を紹介します。
最近ではシアトル系のコーヒーショップなどでも器具が売られるようになって、目にする機会が増えていますが、ご自宅でお使いになられている方はそれほど多くはないと思います。どうしても紅茶の器具のイメージが強く、「これで珈琲を?」と思われるでしょうが、手軽さといい、ほとんどテクニックがいらないという意味でも家庭には最適の器具ではないかと私は思います。

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「おはようございます。あれ?今日は紅茶の講習ですか?」
「おはよう、思ったとおりの反応をありがとう。日本の一般的な家庭ではこいつは紅茶でしか使われないことがこれで証明されたようだ。」
「マスター?ひょっとして今日はこれで珈琲を淹れようってことですか?」
「ああ、『フレンチプレス』という器具だ。他には『カフェプレス』・『プランジャーポット』などと呼ぶこともある。メーカーによって呼び名が違うが、構造はほとんど同じだ。こんなに単純なものだからな、変えられる場所は網の部分ぐらいしかない。」
「家で紅茶を淹れるのに以前使ってましたよ。私の持っていたのは網の部分がナイロンのメッシュになってました。でも、これは金属の網ですね。どちらかというとペーパードリップとは対極にある淹れ方になりませんか?」
「どうしてだ?」
「結局、粉をお湯に接触させたまま放置するんですよね。前にサイフォンのところで教わった『浸漬法』でしたっけ。だから味の傾向もトルコ式やサイフォン式に似てくるんですよね?」
「おお、あの時の説明を覚えていたのか。」
「あたりまえです。私だってちゃんと頭はありますよ。」
「以前は頭は付いていても使っているそぶりが見られなかったのにな。」
「ああそうですか・・・。もう、いじるだけなら帰りますよ。」
「いや、そんなつもりじゃないんだ。最近はしっかりしてきたなと感動しているんだ、うん。多分そうだ。」
「ん、もう、マスターったら。褒めてくれてるんですか、それで?もういいです、進めましょう。」
「わかった、始めていこう。こいつは名前の通りフランスの一般家庭で珈琲を抽出するのによく使われてきた。単純な機構でメンテもしやすく、また、ペーパードリップみたいに常にお湯をコントロールする必要がない。タイマーさえ間違わなければ常にそれなりに一定の味が出せる優れものだ。」
「いいとこずくめじゃないですか?ずぼらなマスターがこの淹れ方で店を始めなかったのが不思議なくらいですね。」
「余計なことは言わんでいい。確かに楽なんだが、俺はあまり好みではないんだ。特に粉っぽくなるところがな。」
「ふ〜ん、試してみていいですか?」
「機構上あまり細かく挽いた粉は使えない。それからお湯との接触時間が長くなるのであまり強い焙煎のものは焦げた味が出るぞ。粉の量は通常通りでいいかな。」
「どばっとお湯を入れちゃだめですよね。豆を膨らませながら・・・と、どのくらい置けばいいんでしょう?」
「わからん。経験と勘で決めてみろ。まあ、あちこち見て廻ると3分ぐらいってのが標準だとされているな。その後、飲みながら修正をしていくしかない。」
「ええっ?ひょっとしてそれってお店で使うのはものすごく大変って事?」
「そうだ。いつも同じ状態の豆を同じメッシュで挽いて使うならこんなに楽な器具はないんだが、専門店のように数十種類の焙煎の違う豆を扱うためには、それぞれに最適な浸漬時間を見つけ出さなきゃならない。」
「美味しくない珈琲を延々と飲み続けるんだ・・・。ペーパーフィルターでよかった。」
「だがな、本当にぴったりとタイミングが合ったときの味は素晴らしいぞ。ペーパーにはないこくと味が出る。おいおい、そろそろ終わりにしないと過抽出になるぞ。」
「うえっ、この珈琲飲みたくないですぅ。珈琲液が澄んでないですよ。」
「濁りは仕方ない。構造上の問題だからな。その分ペーパーでは味わえない珈琲の油分も充分に含まれている。見た目での判断は禁物だぞ。」
「は〜い。じゃあマスターもご一緒にどうぞ。」
「えっ?俺もこれを飲むのか?俺の分はお前が納得したものだけでいいぞ。」
「ず、ずるい!一緒に飲んで修正方法を教えてくださいね。」
「変えられるのは浸漬時間だけだって言ってるだろうが〜!」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(8) | TrackBack(1) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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