2008年09月08日

◆番外編 6.抽出に使う水

毎度お越し頂きありがとうございます。番外編第6回をお届けします。

今回はちょっと趣向を変えて「水」を解説していきます。
単に「水」と言っても水道水からボトル売りの輸入物まで様々にあり、どんな物を使ったらいいのか迷っておられる方もいる事と思います。
お嬢さんもその一人のようです。自分が愛飲している水を持ち込んで試しているようですね。

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「あれ?、おっかしいな?。私の舌に合う珈琲になるかと思ったのになぁ。」
「どうしたんだ?こんなに早くから。」
「あ、マスターお早うございます。ちょっと教えていただけますか?」
「なんだ?改まってどうしたんだ?」
「珈琲が思った味にならないんです。何がいけないんだろうってわかんなくなっちゃって…。」
「いいから最初から落ち着いて話してみろ。」
「だから、いつも飲み慣れてるこの水を使って珈琲を淹れたら私の好みの珈琲になるかなって考えたんです。それで沸かして珈琲を淹れてみたんですけど、どうしても酸味が変なんです。」
「ちょっと待て、そのボトルを見せてみろ。ああ、空のボトルでいい。…そうか、そのせいか。」
「何か解ったんですか?この間のカップルの時みたいに出し惜しみは止めてくださいね。」
「これは珈琲に関わることだからそんなことはしないよ。おまえ、この水うまいのか?」
「水道の水よりはね。慣れたから美味しく感じてるのかなぁ。」
「ふん、あんまり日本の食文化には合わんと思うんだがな。」
「どういうことです?そんな大きな話なんですか?」
「ああ、この水は硬度が高いからな。日本の水は基本的に硬度が低い。それに合わせて料理や飲み物が考えられているんだ。そのため硬度の高い水では味が変わってしまう。含まれているミネラルに反応するんだな。」
「じゃあ、この水を使ったのが間違いってこと?いい発想だと思ったんだけどな。でもでも、珈琲の本場、ヨーロッパでは硬度の高い水が一般的でしょ?どうしてるんだろう。」
「だからどちらかというと焙煎を深くして酸味の変質の影響を防いでいるんだ。どうしても淹れるそばから酸味の成分とミネラルが反応してエグくなっていくからな。」
「ああ、それで味が変だったのね。じゃあどうすればいいの?この水で美味しい珈琲は淹れられないのかしら。」
「まあ、はっきり言えばそうだな。うちのレギュラーブレンドでいえば、まず軽い酸味を表出させるのは至難の技だ。その代わりフレンチローストを施した豆たちなら何とかそれなりの味になるだろう。苦味だけの珈琲ばっかりじゃ価格でシアトル系のスタンドカフェには勝てっこないがな。」
「ふ?ん、私の腕のせいじゃなかったのならしょうがないか。それなら軟水系の水なら問題ないってことでしょ?」
「そういうことになるかな。だが、今の水道水も捨てた物じゃなくなったし、浄水器の性能も上がっているから、わざわざ高い水を使う意味が無いだろう。直接価格に響いてくるぞ。」
「なるほどね。あれほど珈琲豆にこだわっているのに、水をそれほど意識していない理由が解りました。」
「基本的に煮沸するんだ、水の匂いなどより濾紙の匂いの方を気にしなきゃならん。ただそれだけの事だ。優先順位の問題だな。」
「今の自分が考え付くようなことはマスターが調査済みってことですね。おみそれしました。今度から何か思いついたら相談するようにします。」
「いや、まず実験っていう姿勢は今後も続けなさい。こんな失敗が自分なりの味を見つける鍵になるはずだ。俺もお前に得意な分野を見つけてほしいしな。」
「頑張ります。って私なりの味?そんな大層な宿題出さないでくださいよ?。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☔| Comment(10) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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