2008年10月31日

◆番外編 8.泡

毎度この研修会にご参加頂きありがとうございます。番外編第8回をお届けします。

今回は抽出テクニックには直接関わりがありませんが、ペーパーやネルドリップではとても大事なもの、「泡」について検証していきます。
本来は科学的な見地から検証を進めるべきことなんでしょうが、そちらの方面の素養が全くないため、自分の経験則からのお話になっていますので、ご容赦ください。

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「おおっ?早くから何やってんだ?」
「あ、おはようございます。抽出を教わった最初の頃に、練習して失敗を繰り返した時のことを思い出したんで、ちょっと実験をしてみていたんです。」
「ふん、感心だな。そういえばお前が抽出を始めてもう1年以上経つのか。早いもんだ。」
「独り立ちしてからだって半年は経っているんで、失敗を繰り返さないために理由まで理解しようかと思ったんですよ。」
「あれっ?お前が立派な人間に見えてきた、おっかしいな〜。」
「私だって美味しくないものをお客さんに出したくないんです。失礼だなぁ〜。」
「ま、それはそれとして、何の実験をしてたんだ?」
「発言の撤回はしてくれないんですね。もう、マスターってば私をいじるのを生きがいにし始めたんですか?もういいです、わかりましたよ。実は、最初の頃お湯をケチってドリッパーから全部落ちきるまで待ってたじゃないですか。それが原因で珈琲液が渋くなりましたよね?絞るとどうしてそうなるのかなって疑問がわいたんです。」
「ふん、ちゃんと考えているんだな。経験的に知ってはいても理由を考えるとはっきりしないってことか。それじゃあ今日はきちんと理解してもらおうか。」
「ま、まさかマスターが物理や化学の講義をしてくださるんですか?」
「あほか、そんなことが出来るぐらいならここでこんな事はしていないだろ?他の同種の事例に置き換えて理解してみようってことだ。」
「ああ、なるほど。それなら私にもついていけそうですね。」
「俺だってその程度の理解しかしてないってことだ。じゃあ聞くぞ、そもそもドリップの時に出来る泡って何だ?」
「粉の中に含まれていた二酸化炭素がお湯と入れ替わってお湯の中に放出されたものでしたよね。」
「ああ、以前の抽出の講義ではそう説明した。でも、それだけだったら水面からすぐ消えてもおかしくないよな?炭酸飲料を熱すると泡になった二酸化炭素はすぐ消えていくぜ。」
「そうですね、確かにホットコーラとか作るときはそうなります。それじゃあ何故?」
「もうひとつヒントだ。その泡を舐めてみるといい。」
「ええっ?泡をですか?あまり美味しそうではないですよね・・・う・・・マスターの意地悪〜!なんですかこれは?まるで渋柿を食べたような感じ・・・。」
「わかったか?わからなければお代わりもあるぞ?」
「いりませんよ!!・・・でもなんだか記憶にありますよ。暖めて・・・泡が出て・・・消えない・・・しかも不味い!ひょっとしてアクですか?」
「わかったようだな。アクのように親水性の低いものは泡に吸着する性質がある。吸着するとその泡を包み込むように広がるから余計に泡ははじけづらくなる。」
「泡を消さなければ滴下する珈琲液に戻ることはないということですね。でも、それでは絞ると渋くなることの説明にはなっていないような・・・。」
「絞っていくと泡はどうなる?」
「・・・?ああ、そうですね。消えながら珈琲液の中にアクを開放していくんですね。そうか、なるほど。」
「これはあくまで俺の経験から導き出したものだからな。化学や物理の専門家からすると噴飯モノかもしれん。でもこう考えることで一応は納得できるし絞ると不味くなる説明もつく。」
「抽出しながらアク取りまでしているんですね。こんな抽出法を考え付いた人はすごいですね。」
「多分最初は濾過する事しか頭になかったんだろう。その後使ったやつが経験則から使い方を工夫した。さまざまな試行錯誤が現在の淹れ方に凝縮されているんだろう。我々も新たな挑戦だけは忘れないでいたいものだな。」
「まだまだ完成された抽出じゃないって事ですね。でもその前に腕を磨かなきゃ。」
「最近本当に前向きだな、お前。」
「仕事が楽しくって・・・。こんなに充実していたことは今までなかったと思いますよ。」
「そうか、仕事が彼氏のいない隙間も埋めてくれたのか。良かったな。」
「それはそれ、これはこれ!!一緒にしないでください!!」


 

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(1) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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