2009年01月25日

◆応用編 9.カッピング(序)

毎度お越し頂きありがとうございます。応用編第9回をお届けします。
番外編に戻ったと思ったらまた応用編です、すみません。
今回は、自分の購入した豆を定点的に判断していただくための技法です。

以前に申し上げたとおり、毎回同じ量、同じ手順で珈琲を抽出していただけば差はなんとなく解ってくると思います。しかし、記憶と言うのは曖昧なものなのできちんとした記録に残すための手順を紹介しておこうと思います。
スペシャルティ・コーヒーなどを入手された際に、普段飲んでいるものとどう違うのか、どこが素晴らしいのかを説明できたらカッコいいと思いませんか?
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「おはようございます、何ですか?このグラスの山は?」
「おお、おはよう。ん?これか?今日はカッピングをしようと思ってるからな。テイスティングカップ用に用意したんだ。」
「へぇ〜、こんなのでやるんですか…ってカッピングってなんですか?」
「一定条件下で香り・酸味・コクなんかを比較する、豆の個性を見極めるために行うテストだな。最近、スペシャルティ・コーヒーがいろいろと手に入るようになってきたんで、自分が購入した豆がどんな豆なのかを記録しておくのも良いかと思ったわけだ。」
「スペシャルティ・コーヒー?特選珈琲?」
「お前のボケっぷりはどうしたもんかな?まあいい、簡単に言うと豆の味で決められた価格を持った珈琲のことだ。」
「えっ?珈琲って味で価格が決まっていたんじゃないんですか?」
「味そのもので価格取引がされるようになったのは、この10年ほどだ。」
「それまではいったいどうやって価格を決めていたんですか?」
「1つはブラジルコーヒーなどのようにきちんとした規格によって管理されているもの、もう1つはモカ・マタリのように伝説をもったもの。評価基準が味中心ではなかったわけだ。」
「そうか、規格っていうのは最低基準をフォローするだけで、味には踏み込んでないですもんね。豆の粒の大きさや不純物の混入度合いなんて、本来味を決定する要素ではありえないですもん。美味しくなくても規格にさえ合致していれば高額取引の対象になっていたんですね。」
「発展途上生産国の経済的自立を支援するためのグルメコーヒーの開発プロジェクトが思わぬ副産物を生み出してくれたんだ。世界的な統一基準作りが必要とされてきたんだな。」
「経済支援で美味しい珈琲作りなんてなかなか粋なプロジェクトなんですね。」
「このことによって今まで珈琲取引の中心にあったブラジルなどの豆に消費国から駄目だしが出るようになった。それで消費国側の欲している珈琲を理解するためにCOE(カップ・オブ・セレクション)が各国で行われるようになったんだ。その際に使われるテスト方法がカッピングなんだ。」
「ふ〜ん、珈琲の世界でも既得権の撤廃が徐々に行われているんだ。でも、本当に美味しい珈琲が手に入るようになったのはいいことですよね?」
「そうなんだが・・・価格が青天井になったのも事実だ。」
「どういうことなんです?」
「CEOで入賞した豆はコーヒー業者のオークションにかけられるんだ。なかでも高得点を出した豆はいくらの値がつくか見当もつかない。」
「でも、この店で扱っているわけじゃないんでしょ?ええっ、もしかしてたまにマスターが本日のサービスといいながら普段の倍もする珈琲を出しているのはそれだったんですか?」
「ああ、たまに豆屋で見かけて手に入れたものだ。だがせいぜいスペシャルティ・コーヒーの中でも一番下のクラスのものしか商品には出来んよ。」
「え〜?私も美味しいの飲みたい。」
「1杯が数千円になっても飲んでもらえると思うか?この店で?」
「そ、それは・・・、そっか、そういうことなんですね。」
「俺たちが飲む分には勉強という意味でも対価を支払う必要があるかもしれない。だがな、一般消費者にとってそんな価格の珈琲は不要と判断されると俺は思う。だから今以上の評価の珈琲は扱わないんだ。ただし、お客さんが自分のために手に入れて欲しいと言ってくれるなら豆屋の尻たたいてでも手に入れて来るがな。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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