2009年02月12日

◇ある業界の陰謀

梅の花が開き始めた。
1月の寒さとは打って変わって暖かい日が続いている。
春も近づき、世の中は徐々に浮かれモードに移っていっているようですね。
そろそろ重いコートはおしまいにしたほうがカッコいいかな?

桜前線はまだ沖縄にあるのに界隈からは「桜が咲いた」という声がいくつか聞こえてきています。ご家族の皆さんお疲れ様でした。

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「マスター、もうすぐですね!もう準備できました?」
「ああぁ?何の話だ?」
「バレンタインですよ、いやだなぁ、もう1週間切ってるんですよ。」
「お前が準備するのはわかるが、何で俺が?」
「今年は男の方からのプレゼントもありなんですよ。私、楽しみだなぁ〜!」
「何言ってんだ、バレンタインで男がプレゼントしたら1ヵ月後のホワイトデーはどうするんだ?お前が用意することになるんだぞ?」
「えっ?何か必要なんですか?」
「男どもがバレンタインのお返しでどれだけ苦労していると思ってるんだ?貰った相手との関係や自分の意図、そして予算をあれこれと考えながら毎年それぞれお返しを考えているんだぞ。義理チョコだってわかっているにも関わらず、ひょっとして・・・なんて変に妄想を膨らませてばかりいる奴も中にはいるがな。」
「そっか〜、お返しを考えるのってのも大変ですよね。そういえばマスターってば毎年手を変え品を変えてお返し用意してますもんね。」
「先に渡す相手をランク付けして配っちまうほうが楽に決まっているさ。それにお返しをあれこれ想像して待っている期間も楽しいだろ?」
「う〜ん、そういえば随分昔にはそんなこともあったような・・・。だから去年は本当にびっくりしたんですからね。あんなにたくさんのお客さんがマスターに協力してくださるなんて思ってませんでしたから。」
「いや、それはお前がお客さん一人一人にちゃんと対応してきたからだろ。みんな喜んで用意してくれたんだぞ。最近は平気で憎まれ口をたたく商店街の奥さん連中からだってお前の悪口は聞かなくなった。小姑のようにあら捜しが好きな連中なのにな。最近はお前が浮かれてるのがわかるのか縁談話も出なくなった。」
「猫かぶるのもうまくなったのかしら。奥様たちとの距離感がわかってきたんだと思いますね。」
「男との距離感もだろ。そういやあいつとはどうなってるんだ?以前はおろおろと相談に来ていたあいつが最近とんとそんな話がでなくなったんだが。」
「へっへ〜、それは内緒だよ〜!何でもかんでも報告するような子供じゃなくなってるんですよ〜だ。まあ、今年は特定の人にチョコをあげられる幸福感を味わってますとだけ言っておきます。」
「まあいいさ、どっちも俺にとっては大事なスタッフだし仲間だからな。出来れば恋愛関係と仕事は別にしといて欲しかったがな。いまさらだが・・・。」
「マスターとこのお店に出会えて本当に良かったと思いますよ。今では仕事ってこんなに楽しいものなんだって実感できますもん。彼と何かあったって私はここを辞めないと思います。大切なものを一遍に両方なくすことなんか出来ない。でもそのときはマスターの恋人宣言しちゃおうかな。」
「そこ、誤解を生むような発言は控えるように!そうなっちまったらあいつがこの店に関わっている暇がないような新しい展開でも考えてみるさ。」
「でも、傷心の私を誰が慰めてくれるの?えっ?やっぱりマスター?」
「馬鹿言え!お前一人にこの店を任せて俺も雲隠れするさ。仕事に精出せば忘れられるだろ?」
「う、嘘・・・そんな・・・、よそうよそうバレンタイン前に悲しい未来の話なんて!私には薔薇色の未来しかないのよ!!」
「勝手にやってろ!あ、そうだ!当日はカップル限定のドリンクメニューを出してみようか?丁度今年は土曜日だろ?デート前の待ち合わせによさそうな2種類のドリンクをセットで出すってのはどうだ。よし、決めた。おい、POPの準備よろしくな!」
「え〜っ!もう1週間切ってるんですよ!ってさっきも言いましたよね。自分のの準備だけでも忙しいのに・・・。」
「後で飲ませてやるから、頼んだぞ!それじゃあ材料手に入れてくるからちょっと出てくるぞ。店頼む。」
「わかりましたよ。いっつもマスターは思いついたらやらないと気がすまないんだから。だけどPOP書くのは別料金ですからね〜だ。ちぇっ、聞こえてないなこりゃ。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月22日

◇早春のイベント・・・その後

急に寒さが戻ってきた。
先週の暖かさを思うと真冬に戻ってしまったような冷え込みが続いている。膨らみ始めたつぼみも固く縮こまっているようだ。

バレンタインデーから1週間が経ち、店の中にはカップルの客の姿が目立つ。
更衣室から出てきたマスターがウエイターに声をかける。

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「おい、そろそろ一週間になるぞ。更衣室に置きっぱなしの袋をそろそろ持って帰れ。」
「マスター、済みません。持って帰れないんですよ。」
「どうしたんだ、アパートに持って帰れば良いだろう?」
「マスターには言ってなかったんですが、今はあのアパートに住んでないんです。」
「そうだとしても持って帰ったって問題ないだろう?」
「駄目なんですよ。家主の方に悪いんであまり見せたくないんです。」
「お前、いったいどこに住んでいるんだ?」
「いろいろと、転々と・・・。」
「ああん?」
「二ヶ月ぐらいの周期であちこちに居候してるんです。」
「そんなに都合よく友達のところを廻れるのか?」
「そうじゃないですよ、野郎の一人暮らしに転がり込んだってむさくるしいだけじゃないですか、女性ですよ。仕事あがりで飲んでて意気投合してそのまま・・・。」
「そんなことを繰り返してるのか?いい加減きちんとしろよってもまだ20代前半じゃあな、うるさいと思うだけだろうがな。」
「いいえ、マスターのおっしゃりたい事はわかってるつもりです。ただ、僕は暗い部屋に一人で帰るのが嫌いで、女の子の部屋に一緒に腕組んで帰ったりすると喜んでもらえるのが嬉しくて、ついつい続けてしまっているんです。」
「それじゃあ何で転々とすることになるんだ?」
「お互いが飽きちゃうんでしょうか。普段の僕は仕事のことばかり考えてますから女の子の喜ぶようなこと言えないですし、普通の会社務めのOLさんとは休みが合わなくて一緒にどこかに行くこともないですし。僕のほうは喜んでもらおうと思ってしたことが当然のことのように反応されてカチンと来たりで・・・。」
「仕事ってお前、何をしてるんだ?」
「いえ、別に仕事をしてるってことじゃなくて・・・。マスターにもお姐さんにも敵わないんで僕なりにこの店で何が出来るのかって、マスターやオーナーは僕にどうなって欲しいのかっていつも考えてしまって・・・。どうなれば"坊や"と呼ばれなくなるのかなっていつもお店での自分の居場所を考えてしまうんです。」
「ほう、そんなに気にしてたのか。別にお前が未熟だから坊やと呼んでたわけじゃないんだ。俺やオーナーから見ればお前はまだこの世界に足を踏み入れたばかりのひよっ子だからな。出来なくて当たり前だ。あいつにしたってこの1年で急成長しただけであって、それまではどじなウエイトレスでしかなかったんだからな。何がきっかけで取替えの効かない自分になれるかはわからんぞ。」
「僕は今のままでこの店にいていいって事ですか?」
「自分を磨く努力は常に必要だ。だがここに来た頃のお前も忘れて欲しくない。俺とオーナーはお前に若い可能性を感じたんだ。この店を引き継げるほどになってくれてもいいし、オーナーが新たな展開を考えたときの主体となってくれてもいい。必要な時に仕事を任す事ができればいいんだ。あまり考えすぎるな。女の子とも長続きするようにもう少し楽しんでな。生真面目に考えすぎると続かないぞ。」
「はあ・・・お姐さんの生き生きした仕事振りを見ていて、自分もマスターの期待に答えなきゃいけないと気張りすぎてるって事なんですか・・・。」
「力を抜け。普通の会社みたいにみんなが同じ方向を見てなくっていいんだ。お前の力が伸ばせる方向を見つければいいんだからな。それはそうと、チョコレート処分できないんだったらうちの子供たちに分けてやってくれ。」
「ああ、マスターのお子さんにならいいんじゃないかな。頂いた女の子達に悪いかなって思って全部自分でホワイトデーまでに食べるつもりでした。」
「そんなところまで生真面目なんだな。」

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(4) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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