2008年12月13日

◆番外編 10.カップ〜色

毎度お越し頂きありがとうございます。番外編第10回をお届けします。
今回は前回が間を空けすぎたので慌てて仕上げました。後編は書くことが決まっていてどちらかと言うと楽です。

前回に引き続き、カップです。皆様のお手元にはどんなカップがあるんでしょう?
明るいダイニングやリビングには鮮やかな色彩のあふれるカップがよく似合いますが、お店となると少々勝手が違います。家庭で使用するものを選ぶのとは少しばかり違う視点での選び方になると思います。こんな視点でのカップ選びも面白いですよ。

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「おやっ?もう来てたのか、早いな。」
「あっ、マスター、おはようございます。」
「お前、何やってんだ?そんな色画用紙をもって。」
「ああ、これですか?今日はカップの色っていうことだったので・・・。私もいくつか持っているんですけど地色がオフホワイトばっかりで役に立たないし、お店のカップはどこにしまってあるのかわからなかったんで、そこの文房具店で買ってきてお店の中で試していたんです。明るいテーブルと暗いテーブルでは見た目の色が随分変わって見えていたんだなんて始めて気づきました。」
「半年前の改装から明るい席と暗い席の差がはっきりしたからな。以前はできる限り均等に店内が明るくなるような照明だったんだが、スポット照明を多用したから店全体が少し暗めになったかな。」
「ちょっと大人っぽくなったんですよねって、こんなことやってると本来の講習に入らないで終わっちゃいそうなんで早く始めましょう。」
「おお、そうだった。それじゃあ始めようか。お前はカップの色をどう考えている?」
「ええっ?いきなりですか?そうですねぇ・・・外側はまだ検討中ですけれど内側は白いほうがいいと思います。」
「ほぉ、どうしてだ?」
「珈琲の色との対比です。珈琲液は一部焙煎の浅いもの以外は濃い褐色の液体になりますから、その色を引き立たせるには色が薄いほうがいいと思うんです。また珈琲液の透明感を感じるには白いほうがよりわかりやすいかなって思いました。」
「満点に近い回答、ごくろうさん。そのとおりだ。加えてカップ自体の清潔感も出すことができるな。しかもうちでは紅茶も同じカップで出すことになるから白でなきゃいけないんだ。では外側はどうする?」
「それを悩んでいたんですよ。この店の客席に置いたときどんな色が一番合うのか。いろいろ試してみたんですけど、決定打は見つかってません。」
「カップの色によって味の感じ方(味覚)に差が出るのは知ってるか?」
「そうなんですか?」
「ある実験の結果があってな、白と黒の結果はないが、濃茶・赤・青・黄色のカップで比較したもので、同じコーヒーをそれぞれに注いだところ、順に香り・味の濃さが薄くなったと感じたと言うものなんだ。」
「その結果から考えると白いカップは結構損な部類に入りますね、多分…。」
「じっくり考えていいぞ。お前が決めたカップにする予定なんだからな。次の店の改装はずっと先になるだろうから今のこの店のことだけ考えればいいからな。」
「おおっきな宿題ですね、わかりました。もう少し頑張ってみます。」

 本日のまとめ

・カップの内側の色
基本的に白が望ましい。珈琲・紅茶の透明感をきちんと感じることができる。
また、濃茶褐色の珈琲液との対比が一番美しい。

・カップの外側の色
色により感じる「香り・味」の濃さが変わる。色が濃いほうがより濃く感じるようだ。
そういう意味では白いカップは「香り・味」の濃さを薄く感じてしまうが、それ以上に環境に合わせやすい一面もあるためよく使われると思われる。


「そういえば前回の講習で言い忘れたことがあった。」
「形状についてですか?」
「ああ、口の広がったカップと垂直に立ち上がったカップの違いについてだ。」
「それって舌の味覚検出部位の違いに関わっているんですよね。」
「そこまで調べていたのか?」
「ええ、酸味を感じてほしい物は口が広いカップのほうがよくって、苦味が中心のものは垂直のカップのほうが直接舌の奥の苦味を感じる部分に届きやすいって文献にはありました。」
「他には香りが高いものは口が広いほうが香りが広がるからいいようだ。」
「だからティーカップは基本的に口が広いんですね。」
「俺は口が広がっていないカップの中に香りが凝縮したほうが好きなんだがな。」



posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(10) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
奥が深いんですねー。
会社でお客様用に群青色の珈琲カップ(内は白)を使ってたんですが、乾いた水滴の跡が残りやすいので(丁寧に拭けとは何度も言いましたよ…)、今は全面まっ白なのを使っています。
緑茶でも、内側が白いのが私は好きです。とは言え、ついパッと見のデザインで選んでしまうので、よく勉強します。
あ、雪が降ってる♪ 雪に合う珈琲をください。
Posted by 小桃 at 2008年12月14日 00:21
★小桃 さん

いらっしゃいませ、雪に合う珈琲ですか?
そうですね、カフェ・アメリカーノではいかがでしょうか。熱いアメリカンブレンドにバニラアイスを1ディップ、ただそれだけではつまらないので、チョコレートリキュールをほんの少し加えましょうか。

>乾いた水滴の跡が残りやすい
このためお店ではお湯での洗浄を行うのです。さっと乾いたタオルで拭けば多少の水分はカップの温度で痕にならずに消えてくれます。

白い磁器のくすみや黄ばみが気になったら、食器用漂白剤を少し薄めたものを深めのバットに入れ、そのまま加熱しその中でカップを転がすといいですよ。菜ばしなどで取り出してよく洗い流せば白さが戻ります。陶器の場合表面の罅から内部まで色素がしみこんでしまうので、カップの味わいと思うしかありません。
Posted by 銕三郎 at 2008年12月14日 15:09
普段はスノーピークのチタンマグカップを使ってます。うちは家でもキャンプ感覚なので(笑)。雪山で穴掘ってコーヒー飲みたいなー。

koziolの分厚いカップも愛用してます。陶器も好き。目的はもちろん、気分でいろいろ変えたいですね。
Posted by カブ子 at 2008年12月14日 17:46
★カブ子 さん

いらっしゃいませ、毎度ごひいきにありがとうございます。今日は随分と冷えそうなので、ホット・モカ・ジャバではいかがですか?

>スノーピークのチタンマグカップ
さすが、ピラニア鋸では切れないものをお使いですね。しかし家でもキャンプ(感覚)とはいつもながら恐れ入ります。

>koziolの分厚いカップ
あの"はら帯"を巻いたようなカップですか?
たしかJapan Koziolでは扱いがなかったように記憶しています。独または伊から直輸入ですか?
Posted by 銕三郎 at 2008年12月14日 18:24
ホット・モカ・ジャバ、ごちそうさまでしたー。おかわりください。

>はら帯
腹巻きじゃなくて、はら帯ときましたか(笑) そうそう、それです。

>Japan Koziolでは扱いがなかったように記憶
よくわかりませんが、今はネットショップで扱いがありますね。
私が買ったときは色によって在庫があったりなかったりだったので、光子氏にお願いして全色取り寄せてもらいました。

カップといえば、取引先の会社に、ただ竹を切ったもので飲んでいたツワモノのおじさんがいましたよ。たぶん洗ったりしないのでまっくろけ。混ぜるのは15cmのステンレス定規。混ぜた後は脇の下に挟んで拭いてました。ぎょー。
このワイルドなおじさん、ヴィトンのボストンに金槌やバールなどの工具類を詰め込んでいました。鞄の正しい使い方だと思いました。
Posted by カブ子 at 2008年12月14日 23:59
★カブ子 さん×2

>おかわりください。
はいはい、やっぱり普通のカップじゃ足らなかったんですね。ディスプレー用の犬のぬいぐるみが入っているカップで作り直しますよ。

>全色取り寄せ
そうか、その手もあるんですね。一瞬どなたのことだか悩みました。

>ヴィトンのボストンに金槌やバールなどの工具類を・・・
なんだか痛みが早そうな使い方ですね。
竹のカップは爽やかなんですが、使い捨てにしたほうが衛生的ではないかと・・・。定規を脇の下でこするのは理科の実験ぐらいでしか見たことありませんよ。
ひょっとして見習ったりするんですか?
Posted by 銕三郎 at 2008年12月15日 00:26
翻訳家のRoolyです(「初めまして」の方は、URLごらんくださるとうれしいです)。

よくわかります。カップの色って大切ですよね。私としても白やパステル系のカップが好みだけれど…汚れやすいのが難点。難しいですよね。
Posted by Rooly at 2009年04月24日 17:52
★Rooly さん

いらっしゃいませ。ブラジルの#2をどうぞ。

>私としても白やパステル系のカップが好みだけれど…汚れやすいのが難点。
珈琲の灰汁などで汚れてきたカップは漂白剤を温めた中に漬けて煮込んでやると綺麗になります。でも高級な絵付けや金載せがされているカップではやっちゃいけませんよ。
Posted by 銕三郎 at 2009年04月24日 21:24
翻訳家のRoolyです。たびたびすみません。

実は私、栃木県益子町に住んでいて、地元では益子焼が有名です。私の好みに比べると地味な茶系が多いですが、そういうのも最近は悪くないと思うようになりました。

質感も厚くて重い感じでしたが、それも中身を冷めにくくする効果があるようです(これは前編でお聞きするべきことでしたか?)。マスターや皆さんはどう思われますか?
Posted by Rooly at 2009年04月26日 17:46
★Rooly さん×2

>質感も厚くて重い感じでしたが、それも中身を冷めにくくする効果があるようです。
重厚なカップは長い時間かけてゆっくり飲むのに適しています。秋の夜長に珈琲をお供に読書するのに丁度いいと思います。

>益子焼
材料の性質上割れやすく、重いという欠点があるためお店使いには少々難がありますが、ご家庭で使うには落ち着いた雰囲気になるのでよいかと思います。
Posted by 銕三郎 at 2009年04月26日 18:35
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