2007年06月28日

◇南瓜と桂皮と紅茶の関係

商店街が休日の午後。
梅雨空から落ちてくる雨が、店先に掲示したメニュー看板を濡らしている。
ランチタイムも終わり、お店に出入りする客足も途絶えがちになった。
これから夕方までは混雑する店内は望めない。雨の中出歩くのも鬱陶しいし、商店街の買い物客も今日はいない。

客席に残っているのは常連の若い客だけだった。
カウンターの中の片づけを終えたマスターが、客席を見回し納得したように
「大丈夫だな、ちょっと出てくるから。なんかあったら携帯にくれ。」
と言い残し、エプロンをはずして商店街のほうへ出かけていった。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「お姐さん、お姐さんってば。」
「なあに?デートのお誘いなら空いてる日を探すのが大変よ?」
「今夜から1週間って言っても僕のためになら空けてくれるよね・・・あっ、握った手を上げないで。自分で変なボケしてんのに、乗ってあげると怒るんだから。」
「ビミョウな年頃の女性にそんなノリは必要ないわ。ていうか、ガキの相手してる暇はないのよ。」
「僕、一応お客なんだけど。」
「あらー、居候かと思ってたわ。いっつもいるんだもん。」
「もう何でもいいから、ちょっと教えて欲しいんだけど。」
「なあに?スケジュールの確認かしら?」
「まだ言うか、この口は。お姉さんの夜のスケジュールが真っ白だってことはみんな知ってるよ。」
「ふえ〜ん、お客さんがいじめるよ〜。」
「いつまでやってんの、いい年して。そろそろいいかな。ベタな繰り返しもいらないからね。」
「はいはい、わかったわよ。それで、ナンなの聞きたい事って。」
「ケーキのセットなんだけど、いつもはブレンドなんかでも良かったよね?」
「ええ、アイスなら50円増しね。珈琲・紅茶どちらでもいいわよ。」
「でも今日のメニューでは『シナモンティー』限定なのは何故?」
「え〜、さっきまで『今日はシナモンティーが多いわね』なんて考えていたのに。ケーキセットのドリンクが全部シナモンティーなら多いの当たり前よね。」
「しかも今日のシナモンティーっていつもと違うよ。」
「そうよね、いつもはパウダーだけだけどシナモンスティックがついてるし、角砂糖もついてんのよ。それも可愛い薔薇の形のが2個も。確かにお得感はあるけど。」
「ケーキ皿だってガラス製になってるよ。」
「たまにマスターの指示があるのよね、セッティングに関して。『これは決まり事だから』って。マスターの気まぐれだと思ってたけど。」
「気まぐれね・・・僕は売り上げに対する実験とみてたんだけど。」
「どっちも違いますよ。」
「あぁっ!びっくりするじゃない。どこから湧いて出たのよ。」
「奥の書棚の近くにずっと座ってましたよ。」
「違うってどういうことだい?マスターから何か聞いてるの?」
「いいえ、これまで大体月に2回ぐらいの間隔でこのパターンの日がありましたから、マスターは確信犯的にやってらっしゃいますよ。お遊びって言えばそうなんでしょうけれど。」
「え〜そうなんだ。そういえば前回のときは窓際に座った女性客が窓ガラスにいたずら書きしていたこともあったわね。ケーキ皿が汚れてるのもよくあるのよね、普段はそんなこと絶対無いのに。それを見てマスターはニコニコしてるのよ。」
「お姐さん、考えて仕事してます?疑問に思ったら解決しましょう。それよりケーキも決まっていませんか?多分同じ組み合わせだと思いますよ。」
「今日は『パンプキンパイ』よね。前のときはどうだったかしら。」
「そうだ、パンプキンパイのときは表のメニューにもわざわざ貼紙がしてあった。シナモンティーとのセット価格って奴。」
「ほら、やっぱりマスターのお遊びに違いないですよ。マスターは36歳じゃないし、独身でもなさそうですけど、お人好しなのは間違いないし、珈琲が美味しいことは言うまでもないでしょう。あの曲になぞらえて若い女性客の反応を見てるんですよ、もう30年近く前の歌にね。今の若い子じゃ知ってることすら奇跡だと思ってたんですが、実践している人がいるなんて・・・。解んないなぁ女の子は。」
「誰のなんていう歌?解ってるなら教えなさいよ。」
「キーワードは全部出てますよ。自分で調べて見ましょうね。それじゃあ僕は帰りますから。お会計お願いします。」
「ちょっと、待って。こんなんじゃあ今夜眠れないじゃない。」


<本日のメニュー>

  「パンプキンパイとシナモンティー」

さだまさしにより1979年に発表されたアルバム「夢供養」の中の1曲。カラオケには入っているようだが、歌えない曲かもしれない。フレーズ内の言葉の量が多すぎて口(舌)がついていかない。
この歌に出てくる喫茶店の名前が「あみん」で、フォークデュオ「あみん」の名はここから取られている。
この詩のせいで多くの人がシナモンスティックを枝だと思っているようだが、樹皮をはがして丸めたものである。漢字で書くと「桂皮」、漢方薬ですね。
でも、「シナモンの皮でガラスに三度〜」では、なんだか愛がかなえられそうにないような気もする。
後に続編となる「ローズ・パイ」も発表されている。


さらに追記
あんぐれっちーにさんが気にしておられた「薔薇の角砂糖」
http://uginpe.hp.infoseek.co.jp/
で、すごいのを売ってます。ご参考までに。

posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(20) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
参りました。
完璧です(; ;)<「パンプキン・・・」と「ローズパイ」の関係
付け加えるなら「あみん」は「安眠」と書きます。
あと薔薇の形の角砂糖、この珈琲店のマスター、
どうやって入手してるのでしょう。最近見かけないと
「安眠」のマスターもぼやいていたと思うのですが(^_^;)
今日帰宅したら久しぶりに「ローズパイ」の
入ったアルバム、聴こうかなぁ。

えーと、アンニュイなおいらに「いつものミルクティー」とか
出して頂けませんか(意味不明)
Posted by あんぐれっちーに@始業 at 2007年06月28日 08:47
★あんぐれっちーに@始業 様

いらっしゃいませ。こんな時間におめずらしい。
誰か釣れるかなと思っていたらあんぐれさんが1ゲットとは驚きました。

>参りました。 完璧です(; ;)
随分と悩んだ記事だったので嬉しかったんです。ありがとうございます。

>薔薇の形の角砂糖、この珈琲店のマスター、
>どうやって入手してるのでしょう。
実は変な注文をして店の隅っこでごそごそしているカブ子さんが、普通の角砂糖をチェーンソーで削って作ってくださっているんです。たまに秋桜になってしまうのがご愛嬌なんですが。

>アンニュイなおいらに「いつものミルクティー」とか
「いつものチョコレートパフェ」をセットにしてお出しすることにします。
Posted by 銕三郎 at 2007年06月28日 10:52
さだまさしさんって、確か無人島を持ってらっしゃるんでしたっけ。
すみません、今日 無人島のテレビ見たもので。
今日は、オススメセットでお願いします。

リンク先の薔薇の角砂糖、素敵素敵ーー!
マスターのロマンチックさ倍増ですね♪
私、先日、某お返しでキテイちゃん角砂糖をいただきました。
客人にお出しできないシロモノなので(笑)、
娘が せっせと消費しています。。
Posted by どれみ☆ at 2007年06月28日 23:49
★どれみ☆ 様

いらっしゃいませ。定時復活でしょうか?

>キテイちゃん角砂糖
キティラーの方には喜ばれるでしょうけど、畏まったお客様には場違いですよね。
最近、角砂糖の贈答品って見かけなくなりましたね。その中によく薔薇の角砂糖が混じっていた覚えがあります。
角砂糖の消費量が減っているんでしょうか?それとも、砂糖が高価でなくなったということでしょうか?

>無人島
どうしてもサバイバルのイメージになってしまいます。または「ガボテン島」とか・・・。

>メンテナンスもマメですね
仕事が季節感のないものですから、反動なんでしょうか、仕事から離れたものは季節感を現したいんです。せっかく表現の場があるんですから。
Posted by 銕三郎 at 2007年06月29日 00:48
>「いつものチョコレートパフェ」をセットにしてお出しすることにします。

・・・失恋したときのためにミートパイセットもお願いしますm(_ _)m

>普通の角砂糖をチェーンソーで削って作ってくださっているんです。
たまに秋桜になってしまうのがご愛嬌なんですが。

薔薇を作るよりある意味一重の秋桜を作ってしまう方が神業かも(笑)
角砂糖って、砂糖を濃い砂糖水で固めて作ると聞いた気もしますが・・・(^_^;)

さだまさし氏の所有する無人島は大村湾内の「詩島」という島で、
太宰府天満宮から分祠された「詩島天満宮」という
学問の神様がおわすそうです。
通販でお守りとかも買えるらしい(^_^;)

Posted by あんぐれっちーに at 2007年06月29日 01:25
★あんぐれっちーに 様

いらっしゃいませ。

>失恋したときのためにミートパイセット
ソーダ水も用意しておきます。

無人島情報ありがとうございます。mapfun・googlemapでは存在が確認できませんね。大村湾内のどの辺なのでしょう?

削りの技術に関してはカブ子さんの登場を待ちましょう。
Posted by 銕三郎 at 2007年06月30日 10:33
遅くなってすみません。ちょっとチェーンソーのメンテナンスをしてました。
砂糖・・・これからの季節は向日葵ですかね! どどんとでっかく削りましょうね。カップに入らないので砂糖にコーヒーをかけて食べましょう。カキ氷風に。ガリガリ!

激甘な話をしといてなんですが、実はアンニュイな私。
めっちゃ苦ーいのをひとつお願いします。
Posted by カブ子 at 2007年07月01日 19:22
★カブ子 様

いらっしゃいませ。お待ちしてたんですよ。あんぐれパパさんに「薔薇の角砂糖」の製作現場を見せてさし上げたくって。

>めっちゃ苦ーいのをひとつお願いします
豆の苦味なら「トラジャ」か「マンデリン」なのですが、違った意味で苦味の強い「ロブスタ種」を使いましょう。通常はインスタント・コーヒーに使われる豆ですが、正しく淹れればそれなりに美味しくなります。しっかり苦みばしった男前の珈琲をどうぞ。

> どどんとでっかく削りましょうね
ちなみに角砂糖は2p角の立方体でお願いいたします。カブ子さんの腕の冴えを堪能させていただきたいと思います。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月01日 20:32
こちらでは梅雨も中休み、と言った風情で、この週末は曇りが続きました。
今日は結構涼しいです。先ほど近所のパン屋で買ってきた
売れ残りのバゲットで夕餉を食したので、カプチーノを下さい。

おいらも詩島の場所を正確に知りません。ググってみた限りでは、
オーシャンパレスゴルフクラブ付近らしいですが・・・。
財団法人日本離島センターと言う所が出してる「シマダス」という本に
「詩島」の記述があるらしいΣ( ̄□ ̄;)!!↓
http://www.2log.net/home/sunster3/archives/blog33.html
・・・紹介のサイトを見て、この本、なんだか欲しくなりました(苦笑)

チェンソーアートって、国内や海外で大規模に大会が催される位、
最近、ブームになっているようですねぇ。トリさんあたりは
実際に作った経験があるのではないかという気がするのですが、
いかがでしょうか。
Posted by あんぐれっちーに at 2007年07月01日 22:08
おお。カボチャとシナモンて合いますね!リンゴとシナモンも好き。ドーナツにシナモンも・・・・結局シナモンが好きなだけですたー!
あい。はやく、パンプキンパイくだサイ!
あまーく、砂糖いっぱい入れて、ショウガと一緒に濃い〜く煮出したミルクティーに、シナモンを入れると、インドのチャイ風になりますよ。甘いの好きでない人も、これは砂糖多目にしても大丈夫です。部屋の中もチョットだけインドな香りになりますよ!疲れが取れます。
Posted by 青グリン at 2007年07月01日 22:10
★あんぐれパパ 様

再三の情報、ありがとうございます。

>「シマダス」という本
いいですね。リンク先の記述で、私も手元に置いておきたいと思ってしまいました。
夏のキャンプに向けて想像を膨らませるには最適かと思います。実際には私の隊では海へは無理ですけどね。

>チェンソーアート
実際に見てみたいんですよ、私も。
カブ工房で実演していただけないかなぁなんてね。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月01日 22:33
★青グリン 様

いらっしゃいませ。本日のケーキセットでよろしかったでしょうか?

>砂糖いっぱい入れて、・・・インドのチャイ風になりますよ
私の専門外のメニュー、ありがとうございます。勉強になります。
経験と知識が邪魔してこういう淹れ方でチャイ風になるとは思いつきませんでした。

紅茶は難しいですね。それに比べれば珈琲は結構単純で助かります。ブレンド・ローストに手を出して嵌ったら大変ですが。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月01日 22:48
シナモンは大人の香りですね。
子供の頃は苦手でした。

社会人になってからでしょうか?
『お、おいしい』ロイヤルミルクティーに、すこしだけシナモンパウダーがかかっていて、アクセントになっていました。

ぐりんさんの仰っていた、シナモンティ(チャイ風)でしょうか。
お砂糖は控えめで、作って頂いても良いですか?
Posted by ぺこぽこ at 2007年07月02日 13:42
★ぺこぽこ 様

いらっしゃいませ。グリンさん仕様のシナモンティですか?生姜買いに行ってきますね。少々お待ちください。

「シナモン」はケーキに入っていても気にならないのに、紅茶に入っていると鼻に付いてしまうことがありますよね。
ほんの少し入れ過ぎただけで紅茶の風味が飛んでしまうので、シナモンティーはあまり好きな方ではありませんでした(作る側として)。
おしゃれにアクセント程度に効かすのは今でも緊張します。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月02日 22:38
ひえ〜、パンプキンパイやローズパイもあったんですねぇ。
僕は、不思議なピーチパイしか知りませんでした。
Posted by アキラ at 2007年07月02日 23:50
★アキラ 様

いらっしゃいませ。お飲み物はシナモンティーでよろしかったでしょうか?

>不思議なピーチパイしか知りませんでした
ここで「竹内まりや」ですか?やっぱり同世代ですね。そういえば久しぶりに(8月8日)新譜が出ますね。「チャンスの前髪」でしたっけ。

まだまだ出て来そうな予感がしますよ。
「レモン・パイ」はグループ名でしたっけ。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月03日 00:57
シナモン大好き人間なので、シナモンティーお願いします。m(_ _)m

あぁ、そっちがありましたね♪
僕は「不思議なピーチパイ」ともう一声と思って考えたときに、「てんぱいぽんちん体操」(これも同世代?)の方向に空想がいってしまって、戻ってこれなくなってしまっていたのでした。 (^_^;)
Posted by アキラ at 2007年07月04日 00:00
★アキラ師匠

>てんぱいぽんちん体操
むふふ、と思い出し笑いをしてしまいました。「世界一早いモーニングショー」と称した深夜番組でしたっけ。
ありましたよYouTubeに。
http://www.youtube.com/watch?v=Hqk6XCQG4mQ
今見ると何てことないコーナーなんですけどね。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月04日 01:38
なんや〜、この体操。(~o~)
てんぱいぽんちん体操、初めて見ますた!
関東だけでやっていたのですか?
なんかのんびりした体操ですね。
横が切れ込んだジョギングパンツ、昔ありましたね〜。
パイはやらしい新製品メニューになってきたようなので、リンゴの薄切りをバター炒めして砂糖とシナモンかけてくだサイ。アイスクリームも付けてくだサイ。


Posted by 青グリン at 2007年07月05日 20:48
★青グリン 様

いらっしゃいませ。
>リンゴの薄切りをバター炒めして砂糖とシナモンかけて・・・アイスクリームも
済みません。お菓子作りはここではちょっとできません。火力が弱いんで・・・。ケーキも外注してます。
アイスクリームにうさぎカットの林檎をお付けしますので勘弁してください。

>てんぱいぽんちん体操
この体操は私が20代の頃、深夜に放送していた番組の1コーナーでした。関東ローカルだったんでしょうか?
Posted by 銕三郎 at 2007年07月06日 00:44
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