2007年07月19日

◆基礎編 2.抽出準備

お待たせしました、第2回です。今回も珈琲は出来上がりません。お湯の準備までです。
珈琲の抽出には事前に幾つかしなければならないことがあります。それを1つずつ紹介していきます。そのためちょっと長くなっております。ご容赦の程お願いします。
何故それをするのか、どうして必要なのかをご理解いただきたいと思います。

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「おっ、2回目の準備はできてるな。ところでミルは用意したか?」
「あ、おはようございます。ミルはこれでいいですか?倉庫にあったやつですけど。」
「ん?お前自分で挽くんだぞ?それでいいのか?手動のミルじゃ疲れるぞ。今日はかなり挽くことになるんだが・・・お前がいいんならまあ・・・。」
「え〜っ、これのほかにもミルってあったんですか?」
「電動のやつは見た目ミルらしくないからな。倉庫の入り口脇に置いといてやったのに気が付かなかったのか。」
「私、普段お店で使ってる『DITTING』か飾ってある鋳物の物しか見たことないから判んなかったんですよ。すぐ取ってきますから時間ください。」
「抱えたまま転ぶなよ、ミルが壊れるからな。」

「この間にミルの良し悪しを説明しておこうかな。まずは電動手動のものを比較しよう。手動の良い所は電動ほどに早い速度で挽かないので豆が熱ダレしないって事があるな。また挽きたての豆の香りと時間が落ち着きが生む。だが欠点も多い。一定の力で挽くことができないので粉が均一にはならない。何より腕が疲れる。電動の良い所は手動の欠点を補っている部分だな。それから時間の節約ができる。機器を選べば熱ダレの少ない物を選ぶこともできる。だが、良い物は高価になっていく。業務用に使っている『DITTING』社のミルは30万近くする。その分安定した動作ときちんとしたアフターケアが受けられる。それが高価な所以だな。どんなミルでも歯(刃)は消耗品って事を忘れないように。」
「次は挽く方式の違いだ。これは製品の紹介には必ず書いてある。固有名はメーカーによって違うこともあるが、大きく分けて3種類ある。チョッパー式臼式カッター式になるかな。この順で高価になっていく。まずチョッパー式だが、これは挽くというより砕くと言った方がいい。粉の粒のサイズを表す「メッシュ」の大きさは挽いている時間によって決まる。そのため挽きあがりに斑がかなり出る。使えない微粉が一番多くでるのもこのタイプだ。次は臼式。これは古くからある石臼を金属の歯に換えた物だ。粗いものから細かいメッシュまで安定して挽けるが、歯との接触時間が比較的長くなるため豆に熱が伝わりやすい=熱ダレをしやすい。最後のカッター式は豆を切っていくタイプ。そう言うとチョッパーとの違いが解り辛いが「砕く」と「切る」との違いは非常に大きい。熱ダレもしにくくメッシュも均一にできる。但しエスプレッソ用のような微細なメッシュは苦手としている。また、機構が複雑になるため高価で替え刃も高くなる。」文字は後日訂正 

「使用頻度と予算で選択すれば良いと思いますね。家庭で使用するのであれば、歯の寿命なんかは考慮に入れる必要はないでしょう。マスターが用意してくれたのは『BRAUN』の臼式ですね。小さくて使いやすそうですね。」
「お、やっと戻ってきたか。じゃ始めようか。」
「はい、今日は何からしましょう。」
「抽出前の準備を一気にやるぞ。あたふたしてる暇はないからな。あと、この後は1杯取りと2杯取りを分けて説明するのは面倒だから全て2杯取りで進めるからな。」
「ふ〜ん、手抜きするんですね。」
「バカヤロウ!殆ど同じ説明を2回してもしょうがないし、家庭にあるのは2〜3杯用のドリッパーだろ。合理的って言うんだ。」
「はいはい。でも結局マスターが楽してるのは変わらないと思う・・・痛い!拳骨は止めてくださいよぉ。」
「余計なことを言ってるからだ。それだけ憎まれ口を言えるんなら、練習の成果を見せてもらおうか。まず濾紙を折って開く。下と横のマチをそれぞれ反対側に折る。その後で開口部を開く。」
「なんで互い違いにするんですか?」
「片側にするとその側だけが厚くなってドリッパーとの間に隙間ができちまうんだ。」
「解りました、こうですね。できました。」
「では、豆を24g掬って入れてみろ。一応量るからな。」
「任せておいてください。はい、24gできました。量ってみても大丈夫でした。」
「よし、豆を挽くぞ。ミルに入れて挽いてみろ。メッシュの調整は済んでる。」
「はい、蓋をしてっと。このスイッチで開始するんですね。うわっ、結構大きな音がする。ずいぶん時間がかかるんですね。」
「ああ、だから熱ダレを起こすんだ。店のミルなら一瞬だろ。」
「そうですね、ランチ前に挽き置きする時だって300g挽いてもこんなにかかんないですよね。」
「それが価格と性能の差ってやつだ。全部挽けたらペーパーに移して、秤に乗せてみな。容器を叩くなよ、折角分離した微粉とかスキンが混じるぞ。」
「どうしてうまく分かれるんですか?」
「これら電動のミルは静電気でやっているな。微粉もスキンも軽いから静電気で吸い寄せて集めることができるんだ。でも全てを取れるわけじゃない。それより挽いた後何グラムになった?」
「22.5g・・・です。あ、ちょっと多いですね。」
「軽く上下に振って粉が浮いてるところに息を吹きかけて、残っている微粉とスキンを飛ばせばいいぞ。必要な粉まで飛ばすなよ。」
「やってますよ。これぐらいでいいですか?」
「大丈夫だ。今日はここまで。じゃあ、次回はやっとお湯を使うぞ。」
「この挽いた豆はどうするんですか?」
「オレが後で淹れてやるから、飲むだろ?」
「いただきま〜す。」
「あ、そうだ、次回始める前にお湯沸かしとけよ。水道の水ヤカンで構わないからな。」
「解りました。」

本日のまとめ

・ミルには刃の形状により3種類、動力の違いで2種類がある。
  それぞれに長・短所がある。それを理解したうえで使用頻度と好み・
  価格で選べばよい。使っていくうちに慣れるしかない。
・ペーパーは互い違いに折る。
  不均衡は斑を起こす。斑ができれば粉から均一に抽出できない。
・豆を挽いたときにできる微粉・シルバースキンは不要なので取り除く。
  シルバースキンは豆の内側にある薄皮。
  微粉は過抽出を起こすため味を悪くする。粉は一定の大きさに揃って
  いることが重要。
・ミルの癖をよく知ること
  ミルによって欠損量は違う。粉に挽いた際に正しい量になるように豆を量る。



posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 🌁| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おぉ〜、微粉も捨てるのですね。
なんか勿体ない (^_^;)感じですが、そうだったのですね。
なるほど、それでかなり量が減ることになるわけか。
えっと、この記事の場合は、最終的に12+10gで22gにしたいところで、24gの豆を挽いているってことですか?
ですよね?
Posted by アキラ at 2007年07月25日 21:53
★アキラ師匠

>22gにしたいところで、24gの豆を挽いているってことですか
そうです。ミルの形状にもよりますが、ミルの中に残ってしまう分もあり、私のミルではこれぐらい欠損があります。
「まとめ」にも書きましたが、ミルの癖は様々です。挽いてみて粉になったところで量りなおしてみてください。

>微粉も捨てるのですね
そうなります。斑のない抽出をするためには、粉の粒の大きさもそろっていないと部分的に過抽出が起きてしまいます。不要なものまで抽出されてしまい雑味の多い珈琲になってしまいます。
ちゃんとふ〜ふ〜してくださいね。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月25日 23:34
まままマスター。。。

…メッシュってなんですか?
Posted by ぺこぽこ at 2007年07月31日 17:00
★ぺこぽこ 様

済みません、唐突な用語でした。少しわかりやすくするために訂正を入れました。

もともとメッシュは篩いの網目の大きさの単位です。それが粉の大きさと言う意味で一般名詞として使用されたのでわかりづらくなってしまっていました。
通常、珈琲を入れる際には網目のサイズで正確に数量的に表記するのではなく、あくまで粒の大小の区別でしか用いないと思ってください。

決して髪の毛の色分けのことではありません。
Posted by 銕三郎 at 2007年07月31日 17:46
>決して髪の毛の色分けのことではありません。

あはは。
最初そうかと思いました。
(色分けされている?まさかね。。。)と。(笑)

ぐぐって納得しましたが、解りやすい解説有難うございます♪

>うわっ、結構大きな音がする。
そうなんですよね。。。
ミルの大きな音にびびって、結局ロースト機を捨て…。。。
あわわ。。。(汗)

しかし、メッシュの調整は出来なかったです。。。(覚えたてを使いたがり♪)
Posted by ぺこぽこ at 2007年08月01日 19:27
★ぺこぽこ 様

>結局ロースト機を捨て…
ううっ、もったいない。もちょっと早くお知り合いになれてたら頂けたかも知れませんね。大事に使ったのになぁ〜。

大概始めて家庭用の電動ミルを使用した方は大いに驚かれます。
焙煎されて乾いた豆は硬く、壊れるときに大きな破壊音がします。これが、空洞の多いミルの筐体に反響するんですね。
業務用のものは静かな場所で使われることは少なく、また機械の動作音も大きいので豆の破砕音がかなり大きいことに気づかないんです。

私の家庭でも子供が小さかった頃は使用できませんでした。豆を挽くと泣き出すんですよ、怖いって。
Posted by 銕三郎 at 2007年08月01日 21:43
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