2007年11月26日

◆応用編 3.粉のメッシュ

いつも講習会にご参加頂きありがとうございます。
今回は応用編の3回目、「粉のメッシュ」いわゆる粉の細かさについて実験していこうと思います。
いつものブレンド豆を粗挽きから超細挽きまで挽き具合を変えて抽出してみます。
想像してみてもある程度はわかると思いますが、飲んでみるとまた新しい発見があると思います。おうちにミルをお持ちの方は是非試してみてください。豆によっては驚くほど変化がある場合があります。

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「えっと、ここが「粗」でここが「中」、それでここが「細」でいいわね。」
「オイ、何やって・・・ああ、俺の個人用のミルに何書いてやがる!!油性マジックで書くな〜っ!!」
「だってこれ、表示が点だけで判りづらいじゃないですか。今日の講習の際も使用するんでしょうから判り易くしとこうと思ったんです。」
「だからって汚い字をマジックで書かんでもいいだろう。あ〜あ〜・・・。もうこれ生産されていないんだぞ。パーツのガワだけが手に入るかなぁ。」
「ひどいっ!私だって一生懸命考えて少しでもスムーズに講習を進めようと思っていたのに・・・(グスン)」
「わ、わ、な、泣くな、わかった、わかったから。もういいから。なっ?」
「な〜んてね。やっぱりマスターも女の子の涙には慌てるんだ。覚えとこうっと。」
「お、お前!これからのしごきは覚悟しとけよ。もうすぐ新人を採用しようってのに先輩風を吹かしたくないのかな?君は。」
「え?そんな話があるんですか?カッコいいイケメンですか?何人?」
「まだこれから募集するんだ。オーナーとどんな人材がいいのか検討中だ。当面は一人しか雇う余裕はないな。」
「ふ〜ん、またマスター楽しようとしてるんですね。隠居の準備ですか?」
「誰が隠居するんだ!オーナーとあたら・・・あわわ・・・余計なことお喋りに教えちまうとこだった。」
「何か企んでますね、マスター。まあいいです、カッコいいボウヤと一緒にお仕事できるらしいし、バイト代上げてくれそうだから。」
「そんなことは一言も言ってない。お前のせいで客足が遠のいたらバイト代は悲しいことになりそうだな。」
「え〜っ、そんな〜。」
「おしゃべりばっかりしていないでさっさと講習始めるぞ。準備はいいか?」
「お湯は沸いてますよ。豆はどうしましょう。」
「ん、店で挽いてきたぞ。いつものレギュラーを4段階に挽分けておいた。」
「え?挽いてきてあるんですか?折角マスターを泣かせてまでしてミルに印つけたのに。しかも4段階?細挽と中挽、粗挽のほかにまだ用意されたんですか?」
「ああ、極細挽を追加しておいた。エスプレッソで使うメッシュだな。挽いてきたのは挽いてる間待ってるのも時間の無駄だしな。」
「もう、めんどくさがりですね。じゃあ始めますよ。まず中挽からでいいですか?」
「ああ、基準を最初にな。」
「わかりました。・・・かなりスムーズに淹れられるようになったと思いませんか?」
「余計なことはいい。終わったら細挽と粗挽を同時に落とせ。」
「ハイ、前回の復習はちゃんとやってますよ。あれ?大変です、粗挽が膨らみません。マスター豆が古かったんじゃないですか?」
「馬鹿いうな!粗ければお湯の浸透が進まないからガスがなかなか出てこないんだ。しっかり表面を見て、引けてきたら第二投だ。ほら、細挽が落っこちるぞ。湯面を下げすぎるな。何やってんだ、全く・・・。」
「ふぇっ!難しい〜。ますた〜済みません、いい気になってました。淹れなおします。」
「ああ、ちょっと難しかったな。このようにメッシュが違うと同じ豆から挽いた粉でもタイミングは大きく変わる。さては気付いてなかったな、俺が淹れてるときメッシュが違うオーダーは必ず分けて淹れてたって事。」
「あ、ずるい。自分でもやらないことをやらせたんですね。」
「でも、一緒にやって初めてわかったろ?ここで失敗するのはなんでもない。自分で飲むだけだからな。」
「ふんっ、勉強になりましたっ!それじゃあ淹れなおしますよ。」
「あ、淹れなおさなくてもいいよ。どんな風になるかが判ればいいんだ。飲み比べてみろ。」
「はい、基準を確認してからですね。えっと、できれば細挽は飲みたくないっていうか失敗しましたし・・・。はい、睨まないでくださいよ判りましたから。細挽のほうは
・・・うわっ、苦い、渋い、濃い・・・美味しくない〜。」
「途中で絞っちまってるからちょっと渋いだろうな、苦くて濃いのはメッシュのせいだ。酸味はどうだ?」
「酸味も強いです〜、苦手なのに・・・。」
「まあそんなもんだ。細挽あたりだと同じ手順で淹れると中挽の要素をかなり強調してくれる。ただし、余計なものまで抽出されちまうから嫌なエグ味が追加される。それじゃあ粗挽はどうだ?」
「はい、お水で口をゆすいでっと。」
「ちょっと待て、ゆすぐんならお湯にしろ。」
「えっ?何でです?」
「口の中の温度が急に下がると味覚に影響が出る。まあ、そんな厳密な検査じゃないからいいが、な。」
「結構細かいものなんですね。」
「まあな、淹れる条件で微妙に変化する珈琲だから他の条件は統一しておかないといけないからな。」
「それじゃあ粗挽、飲んでみます・・・あれ?飲みやすい。でも薄いっていうか味も素っ気もないですね。力強さは全くありません、ちゃらちゃらした若いお兄ちゃんみたい。」
「やっぱり男に例えるのか・・・。まあいい、大方正確だ。まだまだ抽出不足の感じだろ?」
「そうですね、これじゃあやっぱり美味しくないです。何でこんな風にメッシュを変える必要があるんですか?」
「ローストの具合によって変えるんだ。浅ければ抽出力の高い細挽、深ければ抽出力を抑えられる粗挽ってな具合でな。これに次回の講習でやる湯面の高さを組合わせて丁度いい抽出を行うんだ。」
「頭こんがらがりませんか?」
「色々試しているときは大きな紙に表作って書き込んでかないとわかんなくなるな。しかも、定石に当てはまらないのもたまに出てくることがあるんだ。」
「ひょっとしてそんな手間をかけた中から選ばれたブレンドなんですか、うちのって?」
「ああ、メッシュやローストの具合を決めるのにどれだけ豆を使ったか判らんよ。オーナーもずっと付き合って飲み比べてた。」
「ほんとに好きなんですね、お二人とも。これだけやってれば、文句つけるような客を追い出したくなるのわかる気がしてきました。ところで、まだ淹れてない粉があるんですけど。」
「ああ、これは同じように淹れたら珈琲が嫌いになっちまうからな。アイスにしてどうなるか味わわせてやろうかと思ったんだ。」
「私、アイスの淹れ方はまだ・・・。」
「淹れてやるよ。氷はあるよな。」
「はい、足元のストッカーにあります。でもこれレギュラーブレンドですよね?確かいつもはフレンチを使っていたと思ったんですけど。」
「ああ、よく覚えていたな。それとの違いを味わってみろ。」
「はい。へ〜こんなに低い湯面で淹れるんですか、あれ?もうおしまいですか?通常の1/2もありませんよ。」
「これをグラスに氷を満たした上から一気に注げば氷が解けて丁度いい具合になる。」
「出来上がりですか?じゃあ、いっただっきま〜す!」
「おい、普通のアイスじゃないから気をつけろ・・・って遅かったか。」
「ま〜すた〜、苦味があまり無くって酸味だけがものすごく強いです〜。残り捨てていいですか〜。これ以上飲めませ〜ん。」

本日のまとめ

メッシュは粉からの抽出力を制御する手段
・メッシュが細かくなれば粉の表面積が増すため成分の浸出力が増す。
  簡単に言うと濃い珈琲液が短時間で抽出できるということ。
  反対に粗くなれば時間をかけないと抽出できないということになる。
・メッシュの調節は注湯方法や次回の湯面の高さの調整とセットで考える。
  珈琲の味を決定するのは豆の種類と焙煎度であるが、
  その力を引き出すのが抽出手段となる。
  実験の際はどれか一つを変えると味のバランスが大きく変わるので
  どう変わったかによって他の手段も変えてみるようにしましょう。

<特別講義>
アイスは酸味が強い?

いえ、そうではありません。
ホットで淹れた珈琲を放置して冷めた物を飲んで見ていただくと解ると思いますが、酸味を強烈に感じます。
これは冷め行く中で酸化反応が起こり酸化物が生成されるからだけではありません。
実は人間の舌の味覚は熱いものには鈍感にできています。
そのため冷めてきた珈琲を口に含むと熱いうちには感じられなかった味覚情報が通常通り感じられるのです。
なかでも酸味は人体にとって危険信号の場合があるのでより強く感じるわけです。



posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>これは冷め行く中で酸化反応が起こり酸化物が生成されるからではありません。
冷めてきた珈琲を口に含むと熱いうちには感じられなかった味覚情報が通常通り感じられるのです。
<
ということはですよ、元々冷めたものを飲むときに感じられるくらい酸味が強いってこと?ですよね?
Posted by アキラ at 2007年11月27日 00:15
★アキラ師匠

いらっしゃいませ。囁きは「独り言」から続いているんですね。

>元々冷めたものを飲むときに感じられるくらい
これは豆や焙煎度にもよりますが、温かいうちよりはかなり強いと思います。ダッチ式で淹れる場合はちょっと豆を選ぶ必要があるでしょうね。

苦味と酸味は口に入る際の危険信号でもあります。そのうち酸味は腐敗を意味することが多く、苦味は毒をイメージするのではないでしょうか。
そのため酸味は熱を加えると害が薄れることもあり、熱くすると舌が感じられなくなるんではないかと考えます。
毒は熱で壊れないものが多いですよね。
Posted by 銕三郎 at 2007年11月27日 09:35
>酸味は人体にとって危険信号の場合があるのでより強く感じる
>毒は熱で壊れないものが多い
なるほどー。私、酸味好きでしたが、最近は苦手と感じます。体がそう感じているのかな。

それにしてもマスター、このバイトの女子のこと結構お気に入りですよね♪会話のやりとりが「ごちそうさま」って感じです(笑)。
Posted by どれみ☆ at 2007年11月27日 10:07
>苦味と酸味は口に入る際の危険信号
一昨日きみどりがレモンを絞った牛肉を「おにく、すっぱい!」と言ってはき出しました。同じ味付けの玉ねぎは食べたんです。大人にとってはタン塩みたいで美味しくいただいたんですけど、ヒトとしてはきみどりの反応は正しいですよね。危険を察知する味覚(すっぱい肉=腐敗)って生まれながらにインプットされているんだなぁと感心したところです。
・・ただのきまぐれかもしれませんけどね(笑)

>何人?
人数だったんですね。なにじん?と読んでしまいました。
Posted by カブ子 at 2007年11月27日 13:20
★どれみ☆ 様

いらっしゃいまし〜。

>マスター、このバイトの女子のこと結構お気に入りですよね♪
唯一の女性レギュラーですからね。大切にしないと・・・って、そういうことじゃない?
この二人、書くことに慣れたのか勝手に暴走していきます。
このマスターは私の過去の姿が色濃く反映されていますが、こんなことはほとんどありませんでしたね。
ただ、謙虚に学んで仕事に生かそうとか、アルバイトでも仕事に真剣に取り組んでいる子にはやはり目をかけてきましたから、その姿が表現されているんでしょうね。

>新人君はイケメン?
いやいや、この子の要望であるだけです。
私自身「イケメン」であったことがないので彼らの生態がつかめていません。そのため「出してやれるのかなぁ・・・」と感じています。
Posted by 銕三郎 at 2007年11月28日 09:07
★カブ子 様

いらっしゃいまっせ〜っ!

きみどりちゃん、いい反応していますね。
でも、ただの好き嫌いだったりすることもありますよね。

一度美味しいと思ってしまったら酸っぱい物でも苦いものでも、ある程度は許可されてしまいます。だからピーマンだって胡瓜だってゴーヤだって食べられるようになるんです。
味覚の美味しいと思う範囲は経験によって広がっていくと思います。
Posted by 銕三郎 at 2007年11月28日 09:21
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