2007年12月31日

◇年末の風景

年末も押し迫った夕暮。
店の前で待ち合わせてでもいるのか常連の男子高校生が一人所在無げに立っている。
しばらくすると商店街の角を曲がって常連が一人やってきた。
店の前の常連が待ちかねたように大きく手を上げ合図する。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「どう考えても、正月にデートするには資金が足らない。」
「席に着いたとたんにそんな話かよ。」
「別にいいんだぜ他の奴誘っても。俺の彼女の同級生と一緒に初詣にいかねえかなって言えば手上げる奴は他にもいるからな。」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待てよ!そっちが先だろ?話としてはよぉ。」
「だったらちゃんと話について来い。」
「お前、自分が盛り上がってるからって説明の手を抜こうとしてるだろ。」
「来月の2日にな、神社に初詣に行こうってことだ。せっかく出かけるなら縁結びのところがいいし、都心はどこも人だらけになるだろ?だから郊外まで出かけようって誘ったら、近場ならいいけど遠いと二人じゃねって言い出してな・・・」
「それでお友達付って訳か。彼女、お前が話のネタがなくなること見抜いてるね。」
「そこで、こっちも親友の君に声をかけたってわけだよ。いい話だろ?」
「まだ声はかけてもらっていないぞ。やっと概要がわかっただけだ。しかも最初から俺に参加の○印が付いているのはどういうわけだ?」
「あいつにも面識があって、お友達にも警戒されないなんて都合のいいのはお前ぐらいしか・・・アワワ・・・」
「ああ、そうでしょうとも。お人よしですよ俺は。でも、俺の都合だって聞いてくれても・・・。」
「だから今こうして話してるんじゃないか。」
「呼び出されて座ったとたんに金の話を始めたのはどいつだ、まったく。で、まとめると『1月2日に郊外に初詣デートをしたいが相手も2人なので一緒に来てくれ。加えてその費用が寂しいのでどうするのが手っ取り早いか一緒に考えてくれ』てところでいいのか?」
「おお、端的な説明ありがとう。」
「お前に話を続けさせたら終わんないだろうが。もうなれたよ。」
「それでいいバイトあるかな?」
「だから、俺の都合を聞くほうが先だろうが!」
「あっ、すまん。用があったのか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが・・・もういい。あきらめた。わかったから。お前に説教しても無駄だった。」
「いや〜、わかってくれたか。そうだろう、こんないい話なかなか持ってこれないぞ、うん。」
「時々、なんで?って不思議になるよ。正月の2日だろ、あちこちから手に入るだろうが?小遣いぐらい・・・。」
「俺んちはな、義務教育終了以降小遣いと言うものはくれないことになっている。生活に必要なものとか、学校で必要な分とかは支給されるんだが、小遣いとしてはもらってない。」
「これまでどうしてたんだ?ここに来るんだって必要だろう?」
「つてをたよって工務店で荷運びしたり、夏冬の休みは1週間単位で住み込みでバイトしたりしたので食いつないできたんだが、この冬は先に予定が入っちまって山小屋にいけなくなった。」
「いまからバイトしても現金が手に入るのは松が明けてからだろうな・・・。」
「やっぱそうだよな・・・。年末で工務店ももう仕事はねえし、お手上げなんだ。」
「しょうがねえか・・・。俺のバイト譲ってやるよ。」
「そんなに簡単に代わっても平気なところなのか?」
「まあな、じゃあお願いしてくるからちょっと待ってろ。」
「?」

「オッケイだ。明日朝7時にこの店の裏口に来いってさ。」
「おまえ、何のバイトする予定だったんだ?」
「ああ・・・、この店の倉庫の大掃除。マスターが休みが取れないからって言うから『俺がやる』って言ってあったんだ。2日かけていいってことだから、明日明後日しっかり仕事しろよ。毎日昼飯と休憩2回はマスターが用意してくれるから安心しろ。」
「助かった。マスターの依頼なら支払いは間違いないもんな。お前はいいのか?」
「マスターにいつもお世話になってるから、年末ぐらい役に立とうかなって思っただけで金云々じゃなかったからな。それを譲ったんだから、代わりにしっかり働けよ。」
「ああ、任せろ。倉庫整理とかは工務店がらみでよくやってるからな。」
「あとでマスターにお礼言っとけよ。条件としては破格な内容で了承してもらったんだからな。」
「ありがとう、やっぱいい友達だなぁお前は。」
「ただのお人よしのおせっかいなんだよ。じゃあな。初詣の予定はあとで連絡くれればいいからな。」
「珈琲、飲んでかないのか?」
「急だったんで財布持ってねえし、急げば夕食に間に合うからな。じゃあな。」

本日のメニュ

  カフェ・ティエント

以前に紹介した『トルココーヒー』に黒砂糖を加えたものです。
黒砂糖は溶けにくいため最初にお湯に溶かしておきます。
カップに珈琲の粉を入れ黒砂糖の溶けたお湯を注ぎます。
粉がお湯全体に行き渡るように攪拌し、そのまま沈殿するのを待って上澄みだけを飲みます。
黒砂糖のコクが風味を増してくれます。

posted by 銕三郎 at 23:59| 東京 ☀| Comment(12) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おぉ!?、いちげっちゅー?

新年、明けましておめでとうございます。
昨年は、おいしい珈琲をありがとうございました。
マスターのお店はゆっくり、ほっこり出来て良いですねぇ。

また、時間が出来たら参ります。
本年もよろしくお願い致しますm(__)m。


うふふ。
男の子も画策するんですねぇ。
女の子もそれはそれは画策しますよ。
そういう女の子と男の子が上手くリンクするのが、幸せの構図なのかもしれません。

画策する彼等が、甘い珈琲を好むのが良いですね。
苦い(だけではないですが)飲みものを、おいしいと感じる日には、ファーストネームで呼べる彼女がいるのかしらん?

うふふ♪

Posted by ぺこぽこ at 2008年01月02日 23:26
★ぺこぽこ 様

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

>男の子も画策するんですねぇ。
こんなときの男の子はもう必死の一言ですね。
実現にこぎつけるためにはなりふり構ってはいられません。

>ファーストネームで呼べる彼女
さすが愛の伝道師、ピンポイントですね。
幼馴染でもなければ異性のファーストネームの呼び捨てはなかなかできませんよね。
でも、苦い珈琲がおいしいと感じるのは、最初の恋を失った辺りじゃないでしょうか?
それまではあくまでカッコつけているだけだと思いますよ・・・。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月03日 02:22
女の子なのにあんまり画策できない直球勝負ですぐ打たれるミニラです。(笑)

お正月そうそう、若い子の話は初々しくていいですねぇ。ぐふふ。(おばさん入れてみました:笑)

今年もどうぞよろしくお願いしまーす。
Posted by minira at 2008年01月03日 19:30
★minira嬢

いらっしゃいませ。あけましておめでとうございます。こちらこそ本年もよろしくお願いいたします。

>若い子の話は初々しくていいですねぇ
男の子の間はこんな感じで様々にshareされていきます。たまに勘違いしたやつが分けちゃいけないものまで分けてしまうようですが・・・。
オジさんとしても書いていて楽しくなる世代ですね。

夢のある喫茶店の主役はやっぱり若い男女諸君ですよね。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月03日 23:40
今年もよろしくお願いしま〜す。
マスター、カフェ・ティエント、興味あるんで淹れてもらえます?

僕は高校時代までは明けても暮れてもサッカーだったので、こういう話がわりと少なかった気がします。
むしろ、大学にいってからかな〜。
実際のデートも楽しいですけど、こうやって話してるのもワクワクして楽しいんですよねぇ。 (^o^)
Posted by アキラ at 2008年01月04日 11:48
★アキラ師匠

いらっしゃいませ、旧年中はお世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

>カフェ・ティエント、興味あるんで淹れてもらえます?
残念でした。これはご自身で淹れていただきます。
黒砂糖を必要なだけ自分で削っていただいたところにお湯をお持ちしますから、自分の必要なだけ珈琲の粉をカップに入れて下さい。
オリジナルな一品の完成です。

>高校時代までは明けても暮れてもサッカーだったので・・・
地方の高校生って割りと「部活」や「補習」三昧で、なかなか色っぽい展開って難しかった記憶ばっかりです。
一途に頑張っている姿が異性を惹きつける面もありましたからね。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月04日 15:09
マスター、本年も宜しくお願いいたします。
男の子達がデート代の資金繰りしてるのカワイイですね。女の子だったらナニ着て行こうか考えるんですよね。
決まった相手になってからのデートは楽しいですが、決まった相手になれるかどうかこのデートで決まるかも、みたいなデートは緊張しますね。緊張緩和に黒砂糖いいかも知れませんね。
Posted by 青グリン at 2008年01月04日 23:00
★青グリン 様

いらっしゃいませ。こちらこそよろしくお願いいたします。

>決まった相手になれるかどうかこのデートで決まるかも、みたいなデートは緊張しますね。
この辺りの微妙な心持ちのデートってあんまり成功した経験が無くって・・・。
またそんな経験できたらいいな・・・なんてね(笑)
Posted by 銕三郎 at 2008年01月05日 12:49
はい。ワタシもそうゆうデートは大抵ダメですた・・・。
いつの間にやら付き合うようになっていたという、なし崩しなカンジの方がいいです。
だけど緊張するデート、またしてみたい気はします。
Posted by 青グリン at 2008年01月05日 19:33
明けましておめでとうございます。

なんだかいいですね、この年頃って。
まだ、ブラックは飲まない彼等にピッタリな
コーヒーということでしょうか。
普段は砂糖は入れない私も、じわじわと溶かして
戴きたいと思います。

今年も宜しくお願い致します♪

Posted by Home-Design at 2008年01月05日 22:13
★青グリン 様

>なし崩しなカンジの方がいいです。
集団の中で知らず知らずのうちにパートナーみたいになっちゃうっていいですよね。波長が合わないと無理なんでその後気を使う必要が無いですもんね。

>緊張するデート、またしてみたい気はします
じゃ、今度してみます?
Posted by 銕三郎 at 2008年01月06日 23:40
★Home-Design 様

いらっしゃいませ、今年もよろしくお願いいたします。カフェ・ティエントをどうぞ。上のアキラ師匠と同様に黒砂糖を削るところからやってみてください。

>なんだかいいですね、この年頃って。
みなさん、この世代に郷愁を感じられるんでしょうか。受験は控えていましたが、何をしても楽しかった頃ですもんね。
書きやすい世代ですので、この世代のいろんな男女を描いていきます。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月06日 23:48
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