2008年01月07日

◆応用編 4.湯面の高さ

随分とお待たせしました。応用編の第4回をお送りします。
今回は基礎編の抽出でも少しお話した湯面の高さについて実験しましょう。
前回マスターが申し上げている通り応用編は全てが密接に関係しています。
いつもの豆を購入して普段どおり淹れたのに美味しくないと感じた時、ちょっと手を加えるだけでいつもの美味しさが取り戻せるかと思います。微調整の技ですがうまく使えばより良い珈琲ライフを過せるかと思います。

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「すいません、マスター。遅くなりました〜って、あれっ?誰もいない?講習会に遅刻なんて問答無用で一発食らわそうかしら。あら?ケトルにメモが貼ってある。なになに?きったない字で読めやしないじゃないの。・・・忘れ物?自主トレしとけって?自分が遅くなってるのにいい気なもんね。適当にやったことにしておきましょうっと。」
「遅いわね〜。女を待たせるなんて最低!!」

「もう帰ろうかしら、30分になるわよ。いい加減にして欲しいわね・・・。」
「誰がいい加減にするんだ?」
「もう、遅い!!何分待ってると思ってるの。」
「ば〜か、お前が遅刻するから悪いんだろうが。こっちが準備して待ってりゃ。」
「えっ?あっ?そ、そうでした・・・。でも30分も放って置かれるのは・・・。」
「だからメモ置いておいただろうが。ちゃんと練習しとけばあれこれと珈琲飲み比べながら待ってられるだろうって書いておいたと思うが?」
「ああ、そういうことだったんですか?私はてっきり基礎練習をきっちりやっとけって言われてるのかと・・・。ところでどこ行ってたんですか?こんなに遅くなるなんて。」
「倉庫だ。お前を待っている間に今回の講習に使ってみようと思いついたものがあってな。奥のほうまで探してたら時間がかかっちまった。」
「なんですか、これは。この大きさ・・・。」
「店頭ディスプレー用のドリッパーだ。まだ大きいのはあるんだが、濾紙がないんでな。手に入った濾紙はこのサイズまでなんだ。」
「だからって大きすぎますよ。何杯どり用なんですか?」
「15杯どり位かな。うちの店では使わないし展示スペースもないから倉庫へ放り込んでおいたんだ。」
「これと、今日の講習とどんな関係が・・・?」
「今日は湯面の高さだ。いつも使っているドリッパーとこれとを比較すればわかりやすいんじゃないか?と思いついたんだ。最近アメリカンまで淹れるようになったお前なら想像はつくとは思うがな。」
「そうか、水圧をかけた際の違いを大きくしようってことですね。やっぱりうすくなるんでしょうね。」
「そうだな、そういうことは実験して確認するに限るぞ。理由も考えながらやってみろ。」
「はい。」
「あ、そうそう、今回は1杯じゃなく2杯づつでやるように。」
「えっ?どうしてですか?」
「お前にはこいつで1杯どりは技量的に不可能だろ?見ろ、1杯分の粉じゃこれっぽっちにしかならないんだからな。多分アメリカンにしかならないと思うぞ。」
「あはっそうですね、1投目を全体に行き渡らせようとしてもお湯が全部おっこっちゃいそうですね。わかりました、両方とも2杯取りしてみます。」

「どうだ?」
「色からしてうすいってわかりそうだと思ったんですが、案外色に関してはそれほどうすくはならないんですね。しかも香りもちゃんとありますよ。」
「ずいぶんまともになってきたようだな。きちんとした蒸らしができてなきゃ香りは出なかっただろうに。」
「かなり最初のお湯の量と蒸らし時間には気を使いました。うまくいったみたいですね、よかった。」
「飲み比べてみろ。かなり違うぞ。」
「はい。あれっ?コクでしょうか、足りませんね。確かにいつものブレンドなんですけどなんか違う。一味足らないって言うか、物足りません。起伏がない平板な味なんですね、刺激的なところが感じられません。マスターのおっしゃるとおりこれは別物ですね。気分や体調によってはこちらのほうが飲みやすく感じることもあるんでしょうが、本来の味を知ってるともったいない気がします。」
「ふーん、そこまで言えるようになったか。ついこの間まで『アメリカンってお湯で割ればいいんでしょ』なんていってたのにな。」
「それは言わないでくださいよ。この講座を続けるにあたって私も勉強したんですから。」
「こんないいかげんな講師の下でよくここまで成長したな。誉めてやる。だから講義を続けていいか?これまでのことからもわかるように珈琲液の色と香りはほとんどが最初の注湯で決まるんだ。ほとんど蒸らしをしない応用編1のような抽出とはまるで違うだろう?」
「脇道にそれたのは私のせいじゃない・・・。」
「ん?・・・それとは違い、珈琲の味・コクといったものはその後に抽出される。その更に後がエグ味とかイヤ味とか言われる不要な成分だ。これらの抽出度合いは機械的には求められない。これは珈琲豆が農作物である以上避けられない部分だ。まあ、この辺は次回のまとめに回すとするか。」
「マスター、なんだかすごく機嫌よくないですか?後1回で講習会が終われるんで喜んでるんですか?」
「だれが終わりだって言ったんだ?オーナーから打ち切りの連絡でも来たのか?」
「えっ?だってもともとマスターは乗り気じゃなかったんじゃぁ・・・?」
「まだまだやることはたくさんあるぞ!これからもよろしくな!」
「へっ?はい・・・、よろしくお願いいたします?あれっ?やっぱり今日のマスター、へん!」

本日のまとめ


・湯面の高さは排出速度のコントローラー
 排出速度を上げることにより抽出成分の多少を調節する。
 但し、色・香りは1投目の蒸らしの状態でほぼ決まる。

・成分は順番に抽出される。
 1.色や香りの主成分
 2.旨味やコクの主成分
 3.嫌味やエグ味の主成分
 以上の順に抽出されるため、3を取り出さず
 1・2を出来る限り取り出すためにあるのが抽出と言う技術

・常に同じ状態の豆はない。
 農作物である珈琲豆は産地・乾燥方法・グレードによっても味が大きく変わるが、
 その年の天候や、保管方法だけでも性質が変わる。(袋とかLOT単位で変わってくる)
 入手した豆の来歴を知ることで、味への影響をある程度予想することができる。



posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近、ドリップする前に粉をフーフーするのが楽しみの、アキラです。
マスター、ハワイコナ飲みたいです。

3の嫌味やエグ味の主成分は、どれくらいから出始めるんでしょうね?
僕は蒸らしが終わって淹れはじめのときに、2〜3投 わりと湯面を低く保ってジックリ抽出しておいて、それから湯面を上げてるんです。
この低い間にエグ味が出やすくなったりしてたらヤだな〜と思ってるんですが、自分の舌だとまぁオッケーのような気がしてるんですが。 (^_^;)
Posted by アキラ at 2008年01月10日 09:12
★アキラ師匠

いらっしゃいませ、ハワイ・コナをご希望ですか。お持ちしますのでどうぞお席でごゆっくり。

>僕は蒸らしが終わって淹れはじめのときに、2〜3投 わりと湯面を低く保ってジックリ抽出しておいて、それから湯面を上げてるんです。
単位時間内の成分排出力は豆ごとに違うため「コレだ!」と確たることが言えないのが心苦しいんですが・・・。
ただ言える事は、時間が長引けば過抽出をしてしまうということです。現状でエグ味とかが感じられなければ適正な抽出が行われていると考えていただいていいと思います。
今回の講座は「抽出終了」までの時間の調節の仕方をキモにしています。ですので、アキラ師匠の場合は、『3投目から湯面をあげてみる』とか『4投目まで低いままで保ってみる』とかを試してどう変わるかを味わってみてほしいと思います。
そういった経験が豆の質が変わったときに生きてくると思います。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月10日 09:46
ああ、コーヒーのいい香りがしてきそう。最近胃の調子がいいので、またカフェイン入りのをちゃんと淹れて、飲み始めようかな...
Posted by minira at 2008年01月10日 11:03
★minira 様

いらっしゃいませ。カフェインが少なめの
フレンチロースト・ブレンドとたっぷりのミルクを使ってカフェ・ジュニアにしましょうか。帰国の時期を控えているのに、また胃の調子を崩して、美味しいもの食べられなくなると旅を楽しめませんよ。

>ああ、コーヒーのいい香りがしてきそう。
ありがとうございます。今後とも芳香が少しでも感じられるものを描いていきたいと思います。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月10日 15:07
>ただ言える事は、時間が長引けば過抽出をしてしまうということです。

>今回の講座は「抽出終了」までの時間の調節の仕方をキモにしています。

なるほど、なるほど。
とにかく淹れ始めから淹れ終わりまでの、全体の時間がどうかというところがポイントなのですね。
そこを押さえつつ、その間を工夫する、と。
Posted by アキラ at 2008年01月11日 12:17
★アキラ師匠

>全体の時間がどうかというところがポイント
いやいや、3投目からドリッパーをはずすまでの時間です。
蒸らし(1投目)は豆の種類や状態によって時間を掛けたほうがいい場合があります。そして2投目はドームのトップの高さを保つのを原則としています。

師匠は既にこれまでの講座をかなり試されてご理解されていると思います。今後はわざと基本からはずした物を淹れてみて、頭と舌に経験を積ませるのもいいかと思いますよ。

数値的に測れる部分はごく一部です。結局はカンが全てだったりするんで、経験は大事です。
Posted by 銕三郎 at 2008年01月11日 12:44
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