2008年02月16日

◆番外編 1.サイフォン

珈琲抽出研修会は、毎度お待たせしてしまい申し訳ありません。
今回より番外編として、様々な器具の抽出法を見ていきたいと思います。

さて今回はサイフォンによる抽出を見ていきましょう。
様々な珈琲抽出器具の中で、ドリッパーに次いでご家庭にお持ちになっている確率が高い器具になると思います。
見た目にも雰囲気のある器具ですね。インテリアの一部になっていることも多いでしょうが、使ってこその器具です。ドリッパーとの比較をしてみてもいいんではないでしょうか。

しかし、マスターは慣れない器具に戸惑っているようですね・・・。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「むっ・・・、ダメだ。何がいけないんだ・・・?いい加減嫌になってきたぞ。」
「マスター、何をしているんですか?あらっ、サイフォン!懐かしいわ。」
「おお、やっと来たのか。懐かしいって、お前・・・使ったことあるのか?」
「普通自分で淹れようって考える人が、最初に気になるのがサイフォンでしょ?比べるとペーパードリップって高級感がないじゃないですか。」
「ふん、一理あるな・・・。」
「器具がよければ美味しく淹れられるんじゃないかって、つい考えちゃうんですよね。それで買っては見るけど、手入れが意外と面倒ですぐに手放すか、押入れ行き。まあよくある話ですね。」
「なるほど、お前が最初珈琲の知識と味・香りの感覚がバラバラだったのはそういうわけか。まだ持ってるのか?」
「いいえ、お友達にあげちゃいました。でもマスター、何をぶつぶつ言ってみえたんですか?」
「・・・思った味が出ない!それに腹が立っていたんだ。」
「え〜っ?マスターでもそうなんですか?」
「ああ、微調整ができないんだ。というよりどこで調節していいかが皆目わからん。これからサイフォンの説明をしなきゃならんのに、困ったぞ。」
「講習会、延期ですか・・・?」
「原理はわかっているし、制限事項もわかる。が、それなら調整方法はどうすればいいかを考え始めるとお手上げなんだ。」
「えっと・・・、おっしゃっているのは『器具の扱い方はわかっている。豆のメッシュの最小限界もわかる』ってことですね。その上でできなさそうなのは・・・お湯との接触時間を短くしたいんですか?」
「最近どうしたんだ?そんなに出来がいいと、この企画の当初の目的から外れてしまうんだが・・・。まあなんにせよ褒めてやらんといかんな。よくわかったな、どうしてそう思った?」
「自分で条件を変えて淹れることを想像してみたんです。メッシュを細かくすると濾紙代わりのフィルターを通過して落ちてしまいそうですよね。お湯の量ならいくらでも変えられそうです。接触時間を長くしようと思えばお湯が上がってから放っておけば済みます。だから逆に短くしようと考えたのかなって。構造から考えて絞らないって訳にはいかないでしょうから。」
「お前・・・大丈夫か?ふん、熱は無いようだな。しかしいつもの駄目っぷりはどこへいったんだ?いや、お前の言うことが間違ってるって訳じゃないんだよ。その点は心配するな。ただ、なぁ・・・。」
「私は変身したんです。今までいくらもいろんなチャンスがあったはずなのに生かすことができなかった。だから、今回のチャンスは絶対に生かすんだって心に決めたんです。ところでマスター、お湯の温度は変えてみました?」
「ああ、そうか。そこでの調整もアリか。う〜ん、やっぱり調子が狂うなぁ。」
「・・・オーナー、ありがとう。」
「ん?なに小声でいってるんだ?その握った右手のこぶしはなんだ?」
「べ、別に・・・、な・・・なんでもないです。本当ですって。」
「殴るってわけじゃないんだったらいいんだ、多分・・・。」
「あっ、思い出したっ!ネットで見たときにフラスコを濡れ雑巾で冷やしてましたよ・・・?あれっ?えっと〜・・・。うふっ!」
「笑ってごまかしてもダメだぞ。オーナーの野郎、入れ知恵したな。今日の講習会のテーマがサイフォンって事はオーナーと俺しか知らないはずなんだからな。おかしいと思ったんだ。あれほど成績が悪かったお前が、サイフォンになった途端に俺以上の知識が披露できるはずがない。」
「あの日、マスターが戻られるちょっと前にオーナーがお店にみえて、テーマを教えてくださったんです。それで一昨日のお休みに図書館に行ったりネットで動画を見たりして詰め込んできたんです。」
「まあ、いいって事にしようか?オーナーは無理だって言ってたんだが、先日の午後一杯きちんと店を操れたんでお前のことを見直したんだろう。お前、オーナーに気に入ってもらえたんだよ。」
「えっ?ほんと?ちょっとぐらい時給が上がるといいなぁ。今月常連さんのためにチョコ一杯買っちゃって大変なんですよ。」
「馬鹿だなぁ、領収書出せば営業経費にしてやるぞ。どうせ義理チョコなんだろ。」
「なんとなくすっきりしない言われ方ですけど・・・ありがたくお代頂きます。じゃあ明日レシート持ってきますね。」
「時給の件は考えさせてくれ。なるべくお前が喜ぶ結果にはしてやるつもりだから。来月分には反映されるようオーナーと検討する。」
「約束ですからね。それと新人君もね!」
「お前のことがすっきりしないから決めかねていたんだ。オーナーも腹は決まっただろうからすぐ決まるだろう。」
「いい子見つけてくださいよ。私の彼氏候補なんですから・・・なんてね。」
「暢気にしていられるのも今のうちだけだぞ。音をあげても知らんからな。」


 

本日のまとめ

1.サイフォンによる抽出は「浸漬(しんし)法」
  珈琲の抽出法には大きく分けて2つ「透過法」と「浸漬法」があります。
  これまでの講座で勉強してきたペーパードリップは「透過法」になります。
2.浸漬法は原初より直接発展した抽出法
  サイフォン方式は豆を砕いてボイルして上澄みを飲んだのが、
  お湯に粉を漬けて濾過するものへと進化したものです。
3.抽出のキモはドリップと同様に5つ
  豆の焙煎度・粉のメッシュ・粉の量・お湯との接触時間・お湯の温度
  これらはどんな抽出法でも珈琲を淹れる際に重要な項目です。
4.ドリップのように抽出速度をコントロールすることは難しい
  サイフォンなど浸漬法ではどうしてもお湯との接触時間が長くなります。
  そのためメッシュを細かくしてしまうとエグ味まで抽出してしまうので
  気をつける必要があります。
  上げたお湯全部を下のフラスコに落とさなきゃなりませんから。
  

「好みでいうとドリップの方が好きだな。それもペーパーがいい。なにせ後始末が楽だ。」
「味が問題じゃないんですか?」
「それじゃあお前はこれからサイフォンでやるか?器具を揃える位朝飯前だぞ。」
「私だってイヤですよ。せっかくドリッパーの抽出ができるようになったのに。」

posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おねいさんの、握った右手のこぶしがかわいいです。

サイフォン方式は、ボイルして上澄みを飲んでいたのの進化なんですか?あのカウボーイとかが焚き火でやっているような飲み方ですか?
Posted by Luna at 2008年02月22日 10:42
★Luna 様

いらっしゃいませ。両方式で淹れたブレンドを1杯づつどうぞ。飲み比べてみてください。

>ボイルして上澄みを飲んでいたのの進化なんですか?
以前に紹介した「トルココーヒー」の直系の進化形ですね。煮出した後、粉と珈琲液を分離して飲みやすくしているんです。
Posted by 銕三郎 at 2008年02月22日 11:26
セラミックミルの歯が欠けてしまって、挽きたてのコーヒーが飲めません。ガックリ。
こういうときは、お店で愉しむに限りますね。

あ、マスターいるんですね。
じゃあマスターの淹れたグアテマラをおね・・・グ・ゴワッ!
いや、おねいさんの淹れたグアテマラを是非!!
それ目当てに今日は来たんだからぁ・・グ・ゴワッ!
・・ゴホッゴホッ、すみません、ヨイショはもう言いません。

昔はサイフォンで淹れてました。
火をつけてあのコポコポを見るのが、儀式のようで好きでしたね。
上の方の筒が割れちゃって、それから使わなくなりましたけど。
今やってみたらエグ味が感じられたりするのかなぁ。
カフェオレとかにはいいのでしょうかね。
Posted by アキラ at 2008年02月22日 12:36
★アキラ師匠

いらっしゃいませ。マスターが淹れたグアテマラをどうぞ!(ドンッ!!)

>セラミックミルの歯が欠けてしまって・・・
何を挽いたんですか?安い豆を買って小石が混入していたんですか?なかなか欠けないものだと思っていました。
お持ちになっているミルのメーカーに相談してみるといいですよ。パーツがあれば実費で交換できると思いますよ。

>今やってみたらエグ味が感じられたりするのかなぁ
ペーパーフィルターに慣れてしまうと、思いのほかサイフォンは濃く感じるでしょうね。その濃さにエグ味は隠れてしまうかもしれません。カフェオレだとミルクが苦味を覆ってしまうので、余計に強調されてしまいそうですね。
Posted by おねいさん at 2008年02月22日 14:40
>何を挽いたんですか?
分かんないんですよぉ。 (^_^;)
豆はいつも買ってるところの豆だけだし。
少し前に、そういえば何か菜箸の先っぽみたいな感じのものが、豆に混ざってたような・・・という気もしてるのですが。。。
(挽いてる間に気がついたんですが)

替え刃は昨日頼みました。
明日には届く予定。
すぐに対応してくれてホッとしましたよ。

あ、濃い感じになるのか。なるほど。
それはそれで愉しそうですね。
けど、フィルターの管理がめんどくさいんですよね。 (^o^)
Posted by アキラ at 2008年02月22日 18:52
★アキラ師匠2

先ほどはうちのウエイトレスが失礼しました。

>明日には届く予定。
良かったですね。対応が素早いのが何よりです。メーカーの対応の鏡ですね。

>フィルターの管理
はっきり言って面倒です。
乾燥させてはいけない。清潔にしなければいけない。洗う際洗剤を使用してはいけない。脂肪酸を残してはいけない。・・・
などと禁止事項のオンパレードです。マメでない私は二度とやりたくないですね。
Posted by 銕三郎 at 2008年02月22日 23:09
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