2008年03月25日

◆番外編 2.ドリップオン

お待たせしました。番外編に入って更新間隔がどんどん広まってしまっていますね、申し訳ございません。
実際、普段使用しない器具って、頭では構造・特性はわかっていても・・・という感じでネタにするまで踏み込みにくいようです。
そこで今回は、二人にプレゼントを贈っておきました。私が進物で頂いたものになります。うまく活用してくれるといいんですが・・・。

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「何だこれは〜?」
「あれっ?マスター知らないんですか?ドリップオン・タイプの珈琲ですよ。インスタントより高級感が出せるし、使用後に器具を洗うことなく済ませられるんで、安いこともあってかなり人気があるんです。」
「いやいや、すっごく説明的な科白はありがたいんだが大丈夫だ、俺だって知っている。そうじゃなく、俺はこれがここにある理由がわからないと言っているんだ。」
「それは・・・そうですね、珈琲専門店の講習会にはちょっと似つかわしくないですね。私、この珈琲嫌いなんです。苦味ばっかりで味がスカスカして。あっ、待ってください。メモがありますよ。」
「オーナーからか、なんだって?」
「『今回はこれで何とかしてみてください。面白い講習会になると思いますよ』ですって。どうします?」
「わかった、これをネタにしろって事か。あの野郎、ハードル上げやがって!『ネル布』を準備していたんだが、これはもう少し講習内容を練ろう。パックはかなりの数があるんだな。」
「はい、随分ありますよ。余ったら頂いていいですか?」
「お前、さっき嫌いだって言わなかったか?」
「美味しい淹れ方がわかればラッキー・・・、なんて。」
「まあいいさ。それじゃあ始めるか。」
「はい!それじゃあ行きますよ、『マスターと私のドキドキ・・・』」
「何だそりゃ?」
「一度ぐらいタイトル・コールをやってみたかっただけですよ〜だ。」
「もういい・・・、解ったから・・・。用意しろ。とにかく普通に淹れるとどうなるのか確認する。それとサーバの上に割り箸を二本準備。」
「へっ?サーバ?何するんですか?」
「普通にカップにセットすると最後にはこの袋が抽出液に浸るだろう。浸透圧の関係で逆流もありえるんでな、それを防ぐために高さのあるサーバで抽出しようって事だ。」
「拘りますね。」
「オーナーの指示はそういう意味と受け取ったんだがな。」
「マスターもオーナーも物好きですね。」
「暇だったら20個ほど開封して、中の粉を空き容器に移しておけ。あ、空けた抽出器は捨てるなよ。」
「何するんですか?」
「今回は途中で質問はなし。2度手間になるからな。実験のたびに説明してやる。」
「はい、解りました。あ、カップの分溢れますよ。」
「こうなるから説明を交えたくないんだ。よし、飲み比べよう。」
「しかし不味いですね・・・。味も素っ気もないです。微かに香りはありますが苦くて渋いだけでどちらもあまり差はないようですね。」
「豆の量が足らないな、少量で珈琲液の色を濃くするために焙煎度が高いものが使用されている。それに包装されてからの期間が随分あったな、こんなに粉が膨らまないとはひどすぎる。」
「それでも賞味期限にはまだまだ余裕がありますよ。」
「今日はこれを飲み続けるのか・・・拷問だな。どちらも大差ないからカップだけでいいな。次に移ろう。次のカップ2つ、それから集めた粉を準備。」
「2つ?私の分は必要ないですよ・・・。」
「馬鹿もん!この店で使用する抽出方法は大きく分けて二つあっただろう。どちらがより美味しく淹れられるかを試してみるんだ。」
「すいません・・・。準備できました。粉の量はどうしましょう。」
「その前に、この紙の上に一杯分の粉を広げてみろ。メッシュのチェックも欠かせないぞ。」
「はい。あれっ、マスター、全然均一じゃないですね。むしろ大から小まで取り揃えているみたい。」
「やっぱりな、そうじゃないかと思っていたんだ。どんな大きさのカップで使用されるか判らないのにパッケージには目安しか書いてない。大きなカップで抽出したらかなり薄くなってしまいそうだがそんな様子もない。」
「そっか〜、抽出に必要な時間が早いものから時間がかかるものまで入れておけば多くても少なくても濃さにそれほど影響が出ないということですね。」
「多分それが正解だろう。抽出にあまり時間をかけない俺の淹れ方でもエグ味が出ていたのはそのせいだ。」
「なるほど、一定以上美味しく淹れられなくする技術ですね。破砕粉だけでも篩いましょうか?」
「その方が美味しく淹れられそうだが今回は止めておこう。じゃあ抽出に戻るぞ。」
「はい、粉の量は店の流儀でいいですね。」
「そうだ、比較検証をするにはそれでなければな。しかし膨らまない。相当時間が経ってるな。」
「あまりおいしそうには見えませんね。アメリカンタイプで抽出しても真っ黒ですよ。」
「ひどいな、色もそうだが味も凄い。苦味だけで舌が痺れそうだ。」
「バランスが悪いですね。ペーパーフィルターだからでしょうか?」
「いや、抽出速度と粉の量だな。あんな小さなペーパーパックで抽出するんだ、時間がかかるだろう。それにあわせて調整してあるんだろうな。」
「ひょっとして粉を出したパックをとっておいたのは、うちの豆をあれで入れてみる気なんですか?」
「ああ、公平を期すためにな。ミディアムブレンドの粉を最初に入っていたのと同量入れといてくれ。2つな。」
「ううう・・・、まだ飲むんですか?この講習会の最初の頃よりひどい目にあっている気がします。」
「文句言うな、オープン前のときもこんなだったんだ。あの時は相手がオーナーだったが・・・。たまには自分の舌を鍛えるために、こんな実験もいいかもな。どうかな、味は?」
「さすがに飲めるようにはなっていますが、普通の抽出のほうは普段出ていないエグ味がありますね。アメリカンタイプのほうは逆に苦味が足りません。」
「やっぱりそうなるか・・・。これ以上は改善しづらいな。もう終わりにしよう。」
「やった〜、解放された〜。」
「残ったの持って帰るか?」
「止めときます。キャンプ用にスカウト君たちにプレゼントしたらどうですか?」
「その方が精神衛生上いいようだな。わかった、今度の会議のときにでも渡してやることにするよ。」
「マスタ〜、美味しい珈琲が一杯飲みたい。」
「俺もだ、すぐに淹れてやるからな。」

本日のまとめ
  ドリップオンタイプ

・あくまでも緊急用と割り切る
  美味しい珈琲を淹れる条件をもともとクリアできていない。
  缶コーヒーやインスタントよりまし程度に考えること。
  手を加えるより諦めが肝心。

・キャンプなどの場合は携帯性がいいため重宝する。
  但し、お湯を注ぐ道具がないとかなり苦労を強いられることとなる。
  当然ながらパーコレーターやバネットがあるならそちらでどうぞ。



posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 珈琲抽出研修会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜。
ブレンドを頂きに来ました♪
あ、いやいや!!
カウンターにてんこ盛りのドリップオンタイプの粉じゃなくてですね・・・。
普通のブレンドが・・・。

会社でのお茶だしでは重宝されるんですよね、これって。
コーヒーメーカーやペーパーフィルターを置いていない所はこれを使っているんですよ。
今は全く縁のない物になりましたが、毎日珈琲に接している今飲んでみたらどうなるのかしら・・・。
Posted by 花咲もも at 2008年03月25日 23:46
★花咲もも さん

いらっしゃいませ、ブレンドですね。

>カウンターにてんこ盛りのドリップオンタイプの粉
いくら原価タダだからってお店で使うようなまねはいたしません。あくまで実験用です。

割り切って使う分にはこれといって可も不可もないと思います。まあ、中にはひどいメーカーの物もあるようですが・・・。

リアルの私は、缶コーヒーも飲みますし、シアトル系のエスプレッソでも飲むんですが、自分で淹れるならペーパードリップに拘りたいですね。
Posted by 銕三郎 at 2008年03月26日 11:17
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