2009年06月23日

◆番外編 14.フレーバーコーヒー

毎度お越し頂きありがとうございます。番外編第14回をお届けします。

全然計画して書いていないことが明白になってしまいますね。総合編を始めた矢先に再び番外編などと、本当に申し訳ありません。

先日よそ様より頂いた珈琲の豆なんですが、飲んでみてびっくりしてマスターに話したところ講習会で取り上げる題材にしようということになりました。

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「マスター、おはようございます。前回から随分と間隔が短いですね。」
「おう、おはよう。オーナーから聞いてないのか?珍しいものを頂いたからちゃっちゃと講習会にしようってことになったんだ。」
「いやだなぁ、いつも彼と会っているわけじゃないんですよ〜だ。それよりどんな美味しいものなんですか?」
「いや、おいしいとは言ってないが・・・まあいいか、お前は美味しいと思うかもしれんしな。」
「なによそれ。私だって普通の舌はしていますよ。」
「ふ〜ん、そうだったかな。そんなことは置いといて、今日の題材は『フレーバーコーヒー』だ。」
「フレーバーコーヒーって、紅茶でもよく見かけるような香料で香りをつけたコーヒーですか?」
「ああ、そうだ。今回は5種類ほど用意してみた。まずは淹れてみよう。」
「はい、・・・へ〜、『チョコレート』『バニラ』『アーモンド』『キャラメル』『ストロベリー』ですか・・・す、ストロベリー?これはちょっと勘弁してもらおうかな。他の4つはよくアレンジ珈琲で添加するリキュールなんかで見かける組み合わせですから納得できるんですけど、わざわざ苺の香りを付けなくっても・・・。」
「何言ってんだ、今年のバレンタインにも用意したし、何よりお前がこの店で働くきっかけになった時に飲んでいたのもストロベリーリキュールを加えたものだっただろうが。忘れたとは言わせねえぞ。」
「あっ、そうか。そう言えば何回も登場してますね。じゃあ5種類とも挽いちゃいますね。」
「ちょっと待った。店のミルで挽かないでくれ。ほら、この手回しミルで頼む。」
「え〜っ!!腕が太くなっちゃう。なんで店のミルじゃ駄目なんですか?」
「これは豆に香料が染み込ませてあるものだ。しかも袋を開けただけでこれだけ匂うんだ。店のミルに香りが付いてしまっては後のメンテナンスが大変だ。」
「いつも使っているブラウンのミルは?」
「あれは俺個人のものだ、匂いなんかつけられてたまるか。」
「ひっどーい!いいですよわかりました。このミルならいいんですね。」
「悪いな、1つ目を淹れている間に俺が次のを挽いてやるから勘弁しろ。」
「いいですよ、自分で挽きます。これも修行ですから。」
「そんな意地を張らんでも・・・。」
「大丈夫、後で美味しいものご馳走していただけるんでしょうから。」
「ああ、結局そんなことになるのか・・・。」
「ところでフレーバーコーヒーをお店で出しているところもありますよね?そんなところではどうしているんでしょう?」
「そうだなぁ、多くは香料を溶かし込んだフレーバーシロップを利用しているんじゃないかな。カップに入れておいて珈琲を注げばいいからな。」
「へ〜、こういった豆とは違うものもあるんですね。これはどうして香りを付けるんですか?」
「焙煎時に香料を加えてローストするんだそうだ。わざわざそんなことせんでも豆の香りだけで充分に思うんだが・・・。」
「味を変えずに変わった香りを楽しもうって事でしょうか?」
「いや、香りに乏しいグレードの低い豆を高く売るための苦肉の策ってのが始まりじゃないかな。」
「確かにそんな理由もありそうですね。はい、マスター、5種類全部淹れてみましたよ。」
「全部揃うと本当に凄い香りだな・・・。オーナーのところではシナモン1種類だけだったから良かったが、これは一遍に淹れるものじゃないな。おい、飲んでみろ。」
「味は普通ですよ。ちょっと苦味が強い気はしますね。思うに鼻が詰まっていたらもったいない珈琲だなって事ぐらいですね。」
「そうだな、こいつをうちの店で扱う必要はないな。こ洒落たカフェで出してくれてればいいだろ?」
「私も珈琲の香りの方がいいです。ミルのお掃除だって楽じゃないでしょうし・・・。」
「良く解ってるようだな。それじゃあ使ったミルのメンテ、頼んだぞ。」
「うわっ、やっぱりやらなきゃ駄目・・・ですよね。」
「早いとこ終わらせないと飯食いに行く時間が無くなるぞ。オーナーも呼んでおくからな。」
「い、急ぎます、何としてでも・・・。」


 

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2009年06月17日

◆総合編 1.焙煎と抽出

毎度お越し頂きありがとうございます。今回は総合編の第1回をお届けします。

美味しい珈琲を味わうには様々な条件が複雑に絡み合い、それぞれを充分な状態にする必要があります。総合編ではそこら辺りを説明できたらと思います。

今回は焙煎と抽出についてです。
応用編では個別に紹介しましたが、本来別々に考えるものでは有りませんので、合わせた形で再度紹介していきます。
あれ?どうも研修会から話がずれていってしまいそうです・・・。

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「マスターおはようございます〜!」
「おお、おはよう。今日も無駄に元気そうだな。」
「無駄には余計です!!今日はどんなことをするんですか?」
「豆を3種類ほど用意してみた。まずはこの豆それぞれを普通に淹れて味見するところから始めよう。」
「了解です。3種類はどう違うんですか?」
「それを判別するのが今日の課題だ。とにかく思うように挽いて淹れてみろ。」
「なんだか頭の上に疑問符が一杯浮かんでるんですが・・・。それじゃあそれぞれの豆を拝見します。・・・そうですねぇ、一応中挽きで挽いてレギュラーの一杯取りで淹れてみます。」
「随分慎重だな。まあいい、好きにやってみろ。」
「はい、・・・それぞれ名前がないと判りづらいんでA・B・Cと勝手に呼び分けますね。Aは匂いと味からすると、うちで普段に出しているキリマンジャロですね。これが基準って事かしら。Bはそれに比べると随分と焙煎が強いと思いますね。淹れてみても酸味があまり有りません。でも甘みがほんのりと舌に残っているようですね。こんな焙煎具合でもありなんですね。Cの焙煎度はAとあまり変わりがないようですが味わいが随分薄っぺらい気がします。なんだか香りにも味にもシャープさがないように感じます。」
「Aは正解。それではBとCに関してはどう思う?」
「Bは同じ生豆をフルシティ・ローストまで強く焙煎したものだと思います。Cはどうしたんだろう?豆のグレードが違うのかしら。」
「2/3は正解だ。Cはちょっといたずらが過ぎたようだな。じつはCは家庭用の笊を金網代わりにして俺が焙煎してみたものだ。」
「マスターがおうちで焙煎したんですか?道理で・・・いや、ぶたないで。」
「もう少しまともなものになるかと思ったんだが、火力や器具の違いは明らかだな。お前が言うような味の鈍さは芯まできちんと火が通っていないことが原因と思われる。」
「生焼けですか。表面的にはミディアムに見えるけど中はシナモン程度にしか火が入っていないんだぁ。それじゃあ同じ程度に見える豆でも味わいに差が出るわけですね。」
「あくまでわざとこんな豆を作ってみたんだからな。」
「わかってますよ、子供みたいに変に言い訳しなくたって。だって焙煎用の金網が倉庫にあるのぐらい知ってますよ。もしかしてこんな焙煎しか出来ないから豆屋さんに焙煎してもらっているんだなんて思うと思いました?」
「誤解されても困るからな・・・。」
「私はわかってますよ。お付き合いのある豆屋さんにしろケーキ屋さんにしろ相手は本当にプロフェッショナルなお仕事をされている方ばかりじゃないですか。相手の仕事を信頼してお任せしているんでしょう?その分お店に集中していられるんですもんね。」
「それほどカッコいいものじゃないさ。俺以上の仕事をしてもらえるんなら任せるようにしているだけの話だ。その方が俺も楽が出来る。」
「でも、珈琲の味を決める重要な作業じゃないですか?そんなところを任せてしまっていいんですか?」
「その為に開店前にオーナーと1ヶ月かけて味を決めたんだ。この店で使用する豆の量を毎日焼くにはそれなりの施設と手がかかる。俺はそれほど器用じゃないんで、焙煎中の豆の状態に気がそぞろになってしまってお客の相手が半端になっても本末転倒だしな。きちんとした仕事をしてくれるのであればその方がいいさ。」
「でも、最近5分で焙煎するってお店がありますよ。そんな焙煎機ならお客さんの目の前で焙煎して差し上げられるんで喜ばれるんじゃないですか?」
「電子レンジで焙煎するのがいい結果を生むとは思えんな。何でも電子制御にすればいいってもんじゃない。工業製品ならいざ知らず農作物を画一的に扱うなんてナンセンスだ。」
「そっか〜、豆全体に火を通すには一定の加熱時間が必要で、それがたったの5分じゃ直火や熱風型の焙煎ではないって事ですね。焙煎の世界にまでレンジ調理が入り込んできている訳なんですか。」
「生豆ごとに水分の含有量も違い、焙煎時間も調節してやらなければいけないはずなのに、機械任せにするなんて暴力的なこと俺には出来ないな。だからあんな機械はパスだ。」
「そうですね、生豆>焙煎>抽出って言われるぐらい焙煎の具合は味を決める上で重要な工程ですもんね。専門店を謳う限りおろそかにすべき点ではないですよね。」
「抽出の段階では正しく淹れるかそうじゃないかの違いしかない。俺が正しく淹れている限りうまい珈琲を提供し続けることが出来る。それ以前の部分は正しい仕事をして貰えているわけだからな。それでもロットごとのブレは多少ある。俺にしてみればそれも味だと思うんだがな。」
「試飲と豆のチェックを欠かさない理由ですか。でもそれなら私なんかが抽出していていいんですか?」
「俺が認めたんだからあんまり自分を卑下するな。お前の腕は充分世間で通用するんだぞ。まだ経営面での鍛え方が足らないし、圧倒的に経験不足でもあるから独立させるわけにはいかないがな。」
「独立・・・?考えても見なかった。そんな方向もマスターの視野には入っているんですか?」
「ああ、立派に巣立ってくれるのを見守っている親鳥の心境でな。まあ寿退社の方が早そうではあるがな。」
「あの・・・それは・・・えっと・・・研修会はどこへいっちゃったんでしょうね。」
「最後のまとめさえしっかりしとけば大丈夫だ・・・と思う。本当に大丈夫かな・・・?」
「うわっ!マスターってば大胆!」


 

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2009年06月07日

◇雨の公休日

この地の梅雨入りにはまだ間があるというが、雨模様の天気が相変わらず続いている。
路地裏にある額紫陽花が外側の花弁を大きく開き始めた。まだ色は白い。

お店のほうは今日はお姐さんの公休日にあたる。
以前は仕事熱心のあまり公休日でも1度は顔を見せていたが、最近は休みとなると彼氏とのデートの予定で店に顔を出すこともまれになったようだ。

モーニングの時間も終わり店内が落ち着いてきている・・・。
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「雨だね・・・。」
「そうだね・・・。」
「私のお休みって良く降ってるわね・・・。」
「そう言えばそうだね。突然に降りだして、駐車場からの移動だけでズブ濡れになって食事したったってことも、既に片手には余るほどだったと思う。」
「典型的な雨女なのかしら?せっかくのお出掛けだからって衣装ケースひっくり返して決めたのに台無しになっちゃう。」
「今日は花に囲まれたオープンテラスのカフェで"午後のお茶"と庭園の散策、そしてその庭が高台から臨めるレストランでフレンチのディナーの予定だったからね。この分じゃ予約は全部キャンセルした方がいいね。」
「あのレストラン、予約するの大変だったでしょ?せっかく予約できたのに残念ね。」
「でも、傘を片手にオープンテラスでお茶なんてのはちょっと無理があるんで、今日の予定は丸々日を改めればいいでしょう。花の種類は変わってしまうけれど、楽しみは取っておいても傷んでしまう事はないでしょうから。」
「そうね、次にレストランの予約がとれた時で構わないわね。それじゃあ今日のお昼はお互いに一品ずつ作って二人で食べましょう。簡単なもので構わないから。」
「そうだね、そんな楽しみ方もたまにはいいね。」
「あなたの料理の腕も味わってみたいの。あっ、電話・・・お店からだわ。・・・はい、私です・・・ええ、この雨なんで出かけるのが億劫になって、家でゴロゴロすることに決めたんです。・・・えっ?これからですか?・・・そうなんだ・・・、すぐには無理です!そうですね1時半からでいいですか?・・・今日はお昼ご飯を食べてからじゃなきゃヤダ!・・・済みません、わがまま言って・・・時間には必ず行きます、それじゃあ。」
「坊や、アウトなの?」
「そう、熱があるのに出勤してきたらしいの。店を開ける前に帰したんだって。」
「それじゃあマスター、今一人なんだ・・・。」
「うん、でも電話の声に緊迫感がなかったから多分大丈夫だと思う。久しぶりに一人でやってるから話し相手もいないんで寂しいだけよ。」
「心配してないんだ・・・。まあ、もともと一人でやってたお店だからね。ランチをやめれば平気なんだろうな。」
「そうよ、ドリンクとトーストだけにメニュー絞っているって言ってた。」
「出勤はお昼過ぎでいいんだね。それじゃあさっさとお昼の支度を始めて食べちゃうことにしよう。マスターが首を長くして待っているよ。」
「うん、あなたは何が必要?冷蔵庫にあるもので足りるかしら?でも、今あなたと一緒にいることマスターにはばれてないわよね・・・。」

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「ちっ、こんな時に限って常連のガキどもすら来やしねえ。いつもはさんざんっぱらあいつの悪口を並べてるくせしやがって、休みの日は顔も見せやがらねえんだから。本当に薄情な奴らだ。・・・トースト皿と冷タンぐらいは洗っておかないとマズイな。あいつが来た時に洗い物が山のようだったら何言われるか判ったもんじゃない。・・・去年の今頃なら電話すればすっ飛んで来てくれたのになぁ。デートの約束があったんじゃ仕方ねぇか…無理言っているんだ、待つしかねえな…。」


 

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2009年06月01日

◇マスターの隠れた趣味

まだまだお店の周りのアジサイは小さな蕾が固く閉じています。でもそろそろ雨の季節がやってきました。

先日小学校の校庭で、泥まみれになったテントを雑巾で手入れしているところを見かけました。この時期のキャンプは後始末も大変なんですね。

そんな連中の一人がお客としてやってきたようです。

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「マスター、さっきはじめて気付いたんですけど、あの大テーブルの中央に敷いてあるマット、ナポレオンマットじゃないですか?。うちの団の誰かが寄贈したんですか?」
「バカ言ってんじゃないよ。俺が編んだんだよ。」
「えっ?マスターが・・・?」
「ああ、以前TVで紐の結びの講座をたまたま見ることがあったんだ。ちょっと面白くなってな、テキストまで買っちまったよ。コースターの講座の回を見ながらやっていたら簡単に出来ちまったんでちょっと大きいのに挑戦してみたんだ。」
「へええ・・・マスターって以外に器用なんですね。手芸なんかも嗜むんですか?」
「違う違う、ロープのの掛け方でどうしてもわからないのがあって、たまたま時間が合って結びの講座なんかがやっていたから見てみたんだ。ほら、トラックの運ちゃんが荷を固定するときに荷台のフックとの間に妙な結びを入れるだろ?あれがわからなかったんだ。」
「トラッカーズ・ヒッチですかね?ボーイスカウト活動ではあまり扱わない結びなのでよくわかりませんが・・・。」
「そうなんだよ、運送業では普通に使うじゃないか。複雑な形なのに簡単に結んでいるし解くときもあっさり解ける。出来たらカッコいいかなと思って覚えたかったんだ。」
「うちの隊長でも怪しいなぁ。そうだ、奴んち運送屋だった。今度集会じゃないときに判りそうな友人を連れてきますよ。」
「おお、嬉しいね。そのときはサービスするからな。」
「でも、なんでコースターやマットなんです?」
「何回か続いていた教養講座だったんだが、俺が見始めた頃は装飾的な結びが中心になっていたんだ。吉祥結びやトンボを結んでみたりとか面白かったぞ。」
「そりゃあ・・・。紐って素材や色でおしゃれな装飾品が出来ますよね。例えば平打ちの皮ひもとか、子供用の縄跳びの縄なんか色々と遊べますよ。」
「ポップなアクセサリーを作るんならそれもいいか・・・ってオイ!カウンター脇の商品棚を増やしたいわけじゃないんだ。」
「でも、せっかく覚えたスキルなんですから使わなきゃもったいないですよ。あのマットだって良く出来てるし・・・。でも生成りのままじゃいまいちあのテーブル・・・いやこの店に合ってない気がします。出がらしでいいんで、珈琲や紅茶で染めれば調度品として落ち着きそうですね。」
「そうか、どうもあのマットだけ浮いて見えるのはそのせいか。次は草木染・・・乗せるな!」
「そんな大げさにしなくても2〜3日漬け置きすればいい色になるんじゃないですか?頻繁に洗ったりするものではないんですから。」
「そんなもんか・・・?」
「ネルフィルターだって毎日洗ったって元の色には戻らないじゃないでしょ?」
「そういえばそうか。よし、やってみるか。」
「そのうち値札のついたのが棚に並んでるんじゃないですか?」
「間違ってもそれはない・・・と思うな・・・多分・・・。」


 

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posted by 銕三郎 at 00:00| 東京 🌁| Comment(4) | TrackBack(0) | 珈琲症候群 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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